2001年11月    



東アジア沿岸水圏の環境ホルモン汚染

分泌撹乱化学物質(EDC)、いわゆる「環境ホルモン」には、人間や動物の新陳代謝、成長、生殖をコントロールするホルモンに干渉し、その正常な働きを阻害する様々な種類の化学物質が含まれる。EDCの毒性は自然分解に対する抵抗力が強いため、食物連鎖を通じて毒性を失うことなく自然環境中に蓄積する。

 国連大学では2001年4月、東アジア各国沿岸周辺の海水や河川水のEDC汚染に関する二日間の国際シンポジウムを韓国で開いた。東アジア沿岸水圏は、急速な工業化と農薬の大量使用が原因で広範囲なEDC汚染の脅威にさらされており、沿岸環境とともにすでに食物連鎖の頂点にいる海洋哺乳動物を中心におびただしい数の動物種の健康に深刻な影響が出ている。(水圏――地球表面の水によって占められる面積。ここでは東アジア沿岸の淡水域と海水域を指し、水中に生息する生物も含める)

 「産業とEDC汚染」と題したこのシンポジウムは、東アジア沿岸水圏の環境汚染とガバナンスに焦点を絞る国連大学の研究プログラムが開催する一連の国際シンポジウムの第3回目であり、韓国海洋研究院と韓国光州科学技術院と共同でソウル国立大学において開催された。

 シンポジウムには、韓国の主だったEDC研究者のほか、海外からも専門家多数が参加した。日本の国立環境研究所(NIES)と東京農工大学、カナダ環境省、欧州委員会、カリフォルニア大学などの研究者がEDC汚染全般に関する最新の研究成果を発表し、東アジア沿岸水圏のEDC汚染の原因である工場など、陸上の汚染物質排出源の現状について討議した。さらに日本、中国、韓国、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの研究者がそれぞれ自国沿岸水域の汚染度を調べたモニタリングの結果を発表した。東アジア沿岸水圏の監視作業は、国連大学沿岸水圏監視プログラムの一環として、株式会社島津製作所の支援を受けて実施されている。

 シンポジウムでは、国立環境研究所の森田昌敏博士が基調講演を行い、現時点でのEDC汚染問題の概況について説明した。専門部会では、EDC汚染と汚染源、EDC汚染問題の核心点、東アジアにおけるEDC汚染の現状、EDC汚染に関する今後の研究課題、とくに監視が必要とされる問題領域などが取り上げられた。

 

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