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予測と対策を強化し、影響を緩和しよう
1997−98年のエルニーニョの影響調査報告書
一般にエルニーニョと呼ばれる気象現象は、太平洋の中部から東部にかけての赤道付近で起こる海水温の異常な上昇のことで、それは洪水、山火事、干ばつ、暴風雨、伝染病の流行など、さまざまな異常事象の原因となり、世界各地に大きな災害をもたらしている。エルニーニョとそれに関連した事象の予測能力と準備体制の向上のための投資が行われなければ、今後もエルニーニョが発生するたびに何千人もの犠牲者と数百億ドルの経済的損失が発生するだろうと、最近の調査が警告している。最近のエルニーニョ(1997年から98年)は数千人の死者と960億ドルに達するとみられる損害を世界に及ぼしている。特に途上国の貧困層が最も大きい損害を受けた。
ハンス・ファン・ヒンケル国連大学学長は、2000年10月27日に行われた記者会見で、この1997-98年のエルニーニョについてのいくつかの機関による事後調査の概要を発表し、その際「エルニーニョは異常な現象ではなく、平均して2年から7年おきに発生し、地球規模の気象システムの中でも予測可能な部分になりつつある。われわれはこの現象に対する理解を深め、大きな被害の対策を講じなければならない」と語った。
この「早期警報と準備体制による環境的非常事態の影響の緩和:1997-98年のエルニーニョ」と題する調査報告書は、国連環境計画(UNEP)、国連大学(UNU)、世界気象機関(WMO)、国際災害軽減戦略(ISDR)の4国連機関が、米国大気圏研究センター(NCAR)の協力、国連財団の資金援助を得て、途上国を中心とするエルニーニョ災害の調査を行い、その結果をまとめたもので、エルニーニョによる気象現象の監視と予測能力を強化し、その影響を最小化するための具体的な研究である。
この調査は16の開発途上国を対象に、19ヵ月間にわたって1997-98年のエルニーニョの社会的影響を研究、調査した。特に途上国の社会がエルニーニョ関連のさまざまな事象にどう対応したかに注目し、既存の政府組織、管理方法、情報の流れ、予測能力、早期警報、災害対策などの状況を分析した。調査の主な目的は「有効であった対策と有効でなかった対策」を明らかにし、各国に共通する事象から今後の教訓を得ることにあった。
調査の結果、1997年中頃のエルニーニョの発生まで、ほとんどの予報官がそれを予測できず、また気象の異変がすすむまでは規模も分からなかったことが明らかになった。さらにエルニーニョの影響について各国および地域の予報官が提供した予測は、全体としてあまりに漠然としており、各国の政策当局者に信頼できる情報として用いられることはなかった。政府機関は不確実な、時には誤った情報に基づいて、重大で費用のかかる決定を迫られる場合もあった。
この調査は特にエルニーニョの影響に対処する場合の問題点として、次の各項を挙げている。
予測の信頼性
エルニーニョ現象についての教育訓練の不足
予防または緩和措置を取るための資金の不足
予測と実際の影響の発生、対応、再建までの期間が長期にわたること
政府機関の間の管轄権争い
事象が起きているときの政治的および経済的条件
資金提供者が地域のニーズに対して敏感でないこと
関係各当事者間の意志疎通の不足
調査はエルニーニョに対する共同対策を取るための地域的機関の創設を提案している。調査報告書の要約『1997-98年のエルニーニョの教訓:災害を二度と繰り返さない』(英語版のみ)は国連大学広報部から入手できる。また、オンラインで参照することも可能。
(http://www.esig.ucar.edu/un/enFinal.pdf)
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