1998年 3月      


国連大学理事会、国連大学の将来路線を検討
   6項目の短期目標を採択、研究ネットワークの強化へ

国連大学理事会は昨年12月1日から5日まで、東京で年次会議を開き、今後数年間の国連大学の路線について協議した。24人の理事から構成される理事会の会議では、今回特に将来について明るい、前向きの展望が語られた。

まず国連大学のハンス・ファン・ヒンケル新学長は理事会に、22年の歴史を持つ国連大学を単に国連の一機関というより、多くの研究分野で先端を切る大学にしたいと語った。同学長は「総合的な改革プログラム」を立て、それに基づいて国連大学が「国連システムに最高水準の学問的成果を貢献する」ことを提案した。

国連大学の今後の路線を検討する資料として、ファン・ヒンケル学長は国連大学の従来の実績の中で、成果が上がっている分野とそうでない分野の評価を提出した。理事会と学長は協議の結果、以下の7項目の短期的目標を決めた。

  • 国連大学が達成すべき目標とそれに至る道程を決めるための、大学全体としての戦略的計画を立案する。
  • プロジェクトの選択、モニタリング、評価の方式を改善する。
  • 研究結果の品質を高め、必要に応じて各国および諸機関等の政策立案者がその成果を容易に活かせるような措置を取る。
  • 国連大学本部および研究・研修センター・プログラムの受入国政府との関係を活性化させる。
  • 研究・研修センター・プログラム間の協力を促進する。
  • 国連大学に対する資金拠出者の範囲を広げる。
  • 地域社会との連携を強める。
これらの目標の中には達成が困難なものもあるが、ファン・ヒンケル学長は理事会に対して、国連大学は3つの重要な特徴を備えており、それを十分に活用していくつもりだと語った。その特徴とは、まず国連大学が地球規模の緊急な課題に取り組むため、世界の高名な学者たちの力を結集することを使命としている点である。第二は国連大学基金の存在である。これによって国連大学は強力な財政的な基盤を与えられ、長期的で弾力的な計画を遂行できる。基金はさらに、国連大学のプロジェクトに対する外部からの寄付を活用する基礎になっている。第三の特徴は、国連大学のインフラ、すなわち基本的な組織構成である。東京の本部を中心として、世界各地に存在する研究・研修施設のネットワークが組まれている。これらの3つの特徴を十二分に活かして運営に当たれば、社会が国連大学について持つイメージが不明確だという弱点を克服することができる、と学長は言う。

すでに国連大学の業績が改善されるにつれて、一般の国連大学に対する認識は高まりつつある。同学長の理事会への報告では、米国ワシントンの地球環境基金(GEF)が最近、国連大学のプロジェクト「人間・土地・環境変化」(UNU/PLEC)に対して、4年間で617万ドルを拠出することになった。また日本のキリンビール株式会社は、従来からの国連大学・キリン・フェローシップ研修プログラムに対する支援を続行することを決めた。これによって途上国の科学者を日本に招き、食品の科学技術を研修する機会を引き続き提供できることになった。

「これらは国連大学の業務が社会から認識され、支援されていることを示す、多くの実例の中の2つにすぎない」と同学長は語っている。

また他にも2件の重要な事業が東京の国連大学本部で進められている。一つは20年前から実施されている国連システム内評価が今年、国連大学について行われることだ。これによって国連大学が過去10年間に、憲章に定められた目標をどの程度達成したかが評価される。もう一つの事業は国連の合同調査部が行う審査で、結果は9月の国連総会に提出される。この二つの評価はいずれも国連大学の機能を強化し、その方向の決定に役立つものである。