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| | 1998年 3月 |
国連環境計画の役割向上の提言も
21世紀の国連像をめぐるシンポジウム
第3回「21世紀の国連システム」シンポジウム(UN21プロジェクト)が昨年11月14、15の両日、ニューヨークで開催され、世界の大学、国内・国際研究機関の28人の研究者が、約200人の出席者を前に1年間の研究成果を発表した。シンポジウムは国際機関、国家と主権、地球規模の市民権、地域機関、市場の力の5分科会に分かれて行われた。
「国際機関」の研究者たちは、将来の環境変化に対応するためには、国連環境計画(UNEP)を改組する必要があると主張した。ウィリアムズ・カレッジのマーク・レビー教授はUNEP改革のための3つの選択肢を提示した。第一はUNEPを合理化して、政策関連の情報と助言を提供する国際的調整機関とする案である。第二はUNEPにもっと重要な役割を与え、それによって国際的な環境問題の解決をリードし、調整が不十分な関係機関の間で合意を促進することである。第三はこれらの機能を一つの機関に統合し、集団としての決定を下し、ルール順守の手順を決めるだけの権限を持たせることである。
またレビー教授は、UNEPの財政的自立の必要性を強調していた。「2年ごとの任意の寄付に依存していたのでは、UNEPの財政的な将来は暗い。UNEPを国連の専門機関とするか、加盟国の分担金を法的に義務化することがぜひ望ましい」と教授は言う。
さらにレビー教授はUNEPの所在地も問題であると指摘した。UNEPは現在、ケニヤのナイロビに置かれているが、それを欧州か北米に移すべきだと教授は主張する。ケニヤは他の国連機関の所在地から遠く離れており、またケニヤの通信インフラが十分ではないため、「今の場所では効率が悪い」というのである。しかし、UNEPを他の場所に移転させるのは容易なことではない。「政治的に微妙な問題になることは分かっているが、移転が有益であることも明らかだ」と教授は語る。
「国家と主権」のテーマの研究者たちは、環境問題を克服するための政府と社会の協力のあり方を取り上げた。カリフォルニア大学のピーター・エバンズ教授は、「国と社会のシナジー(共働)」という概念が、特に第三世界の都市環境の悪化や持続可能性を考える場合の、よい道程になると主張する。国と社会のシナジーとは、公共・民間両部門の資源を総合的に下水、水道、輸送網などの都市の基盤整備に充てることである。同教授は、地域の公共機関の資金負担が途上国の大都市を生かす上で極めて重要であることを認めるが、同時に「国の公共機関の能力を有効に使い、正統な使途に資金を当てることも重要だ」と述べている。
「地球規模の市民権」のテーマについては、NGOの重要さを訴える研究者の声が聞かれた。ワシントンDCのアメリカン大学のポール・ワプナー準教授は、NGOは環境悪化の原因や程度についての科学的情報の重要な提供源だと述べた。しかし、同教授はNGOが必ずしも公共の最善の利益を代表していないことも指摘した。「NGOは環境改善のために努力しているのだが、彼らは他の政治的グループから完全に自由だというわけではなく、そのために生態系問題を誤って理解していることがある」という意見だ。
「地域機関」問題の研究者たちは、地域内協力が持続可能なエネルギー源の確保に有効だと考え、ASEANをその典型として検討した。カリフォルニア大学のリューバ・ザルスキー博士は、ASEAN加盟国間の協力によって、アジア市場が環境的に健全なエネルギー開発に進む可能性があることを報告した。しかしその実現のためには、ASEAN加盟国は共通のビジョンを持つ必要がある。「最初のステップはエネルギー政策の目標と目的について、地域的なコンセンサスを育てることだ」とザルスキー博士は述べた。しかしそれは容易なことではない。「経済発展のレベルに大きな違いがあり、ASEAN地域内の政治的な対立という難問を背負い込んでいる」ことを博士も認めている。残念なことに、将来におけるASEAN諸国間の協力が環境問題を中心に進む状況ではない。アジアの経済危機からの脱出がなによりも優先されるからだ。「投資のタイムラグから見て、今後10ないし15年がアジアに環境的に持続可能なエネルギー利用の基礎を固める重要な時期なのだが」と博士は残念そうに語った。
一方、「市場の力」の研究者たちは、統一的な評価を下すには至らなかった。それは市場が持続可能な開発を促進する一方で、阻害もするからである。たとえば、太平洋開発環境安全研究所のピーター・グレイク所長は、水を例に挙げてその主張を展開した。同所長によると、これまで市場の役割に十分な注意が向けられなかったため、多くの水が配分を誤り、浪費されたという。「水は経済的な財として扱う必要があり、水の市場価格もその役割を反映すべきだ」と同所長は述べた。しかし一方で、世界市場での一部の農産品、漁業製品に対する飽くことのない需要が、環境に著しい負荷を与えているとの議論もあった。
国連大学の5ヵ年にわたるUN21プロジェクトの目的は、21世紀における国際機関の役割を分析し、国連のベストモデルを探求することにある。研究者はいま1998年の研究テーマの準備を進めている。
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