1998年 7月     


大型環境プロジェクト ウガンダで戦略会議
境問題を総合的に扱う国連大学の「人間、土地管理、環境変化」(UNU/PLEC)プロジェクトの今後4年間の事業計画を決める企画会議を兼ねた研究会が、3月29日から4月4日までウガンダのエムバララで開かれた。ワシントンに本部を置く国際機関、地球環境基金(GEF)からこのプロジェクトに対して今後4年間に総額617万ドルの資金提供が決まったことを受けて開かれたもの。会議にはプロジェクトに参加している世界各地の研究者38人が出席した。

プロジェクトを担当するユハ・ウイット国連大学学術審議官はUNU/PLECを次のように説明する。「管理された農業エコシステム内で、そこの生物多様性の保全のためのモデルのデモンストレーションと人材育成を目的とし、プロジェクトに参加している100人の研究者が世界各地の貧しい農民や牧畜業者と地道な共同作業を行っている」
協力農民のバカンギソ氏(写真中央)が、UNU/PLECの研究者と穀物廃棄物管理の方法を検討した。(ウガンダ・ムィジにて)
UNU/PLEC梁洛輝撮す。
こうした貧しい人たちは森の周辺や水の少ない土地、山はだ、湿地、あるいは極端に狭い土地など、本来、農牧地には適さない、生産力の低い土地で農業や牧畜をしながらその土地の生物多様性を守っている。研究者たちは彼らの伝統的な手法を記録し、そこから学ぼうとしている。土地固有の植物や動物を保全する彼らの知恵は、生物多様性が危機に瀕しているほかの地域の人たちにも活用してもらいたいと考えたからだ。

プロジェクトでは、西アフリカ、東アフリカ、中国、パプアニューギニア、そしてアマゾン流域を選んでそれぞれに地域クラスター(群)を設けて作業を進めている。それぞれのクラスターはさらに細かくサブグループに分かれている。エムバララ会議の開催には東アフリカ・クラスターのウガンダ・サブグループの協力があった。

会議では、技術検討会、ポスターやスライドのセッション、それに現地視察などを通じて、研究者と農民が共同で管理するデモンストレーションのサイトについてさまざまなアイディアや経験が討議された。その結果は以下の通り。

(1) アグロバイオダイバシティ(農業活動と生物多様性の共生)に関するプロジェクトの焦点が明確にされた。(2) プロジェクトはアグロバイオダイバシティ保全と強化による、食糧確保の安定をめざしているが、この主目的達成のため多岐にわたる手法を探索することが決まった。(3) アグロバイオダイバシティ保全に向けてプロジェクトが試験的に実施する、土壌の湿分保持、土壌流出予防、土壌の肥沃度再生など、いくつかの研究・実験テーマが固まった。(4) 原生植物種およびそれらの種に関する農民の知識と管理技術を重点的に調査することが決まった。(5) デモンストレーション・サイトの定義づけが行われた。

デモンストレーション・サイトの定義に関しては多くの意見が出された。UNU/PLECのデモンストレーション・サイトは、土地の農民のあいだに昔から伝わる土地の利用と管理の手法を使って、開発問題専門の研究者が作業を進めるためのアイディアを独特の形で集めたモデル農地のことだ。定義に関してある参加者から、サイトの基準としては、特徴が明確である、その土地の原生生物種が一覧できる、確実な監視体制ができている、見学者の意識向上を促す、地元農民が率先して参加する、などが提起された。

また、デモンストレーション・サイトや実験農園などは、地元のグループが自主管理する住民帰属の原則を守るべきだとする点についても、多くの意見が出た。結局、研究者たちに活動の主導権をゆだねてしまう過度の依存心、いわゆる「ゴッドファーザー」シンドロームは排除すべきだという点で、意見は一致した。

参加者のひとりが指摘していた。「研究者と農民が相互の信頼に基づいて共通の目的のために連帯できれば、それが望ましいUNU/PLECの現地プロジェクトといえる」。