1998年 7月     


シリコン生産による環境汚染を改善
    国連大学高等研究所がプロジェクト

イテク産業がエレクトロニクス機器に組み込む高純度シリコンの生産工程で、原料の石英をシリコンにするプロセスが環境汚染を引き起こしている。国連大学高等研究所(東京)は最近、この問題による汚染を最小限に抑える研究をスタートさせた。

石英を金属シリコンに変える転換反応には木炭の炭素が使われており、そのために大量の木材が消費されている。さらに、精製過程から出る大量の廃棄物は河川や大気を汚す原因になっている。 シリコンの生産工程を環境持続型に改善することが、石英産業トレーディング.システム(QITS)と呼ばれるこの研究プロジェクトの目的である。

プロジェクトの第1回の研究会がブラジルのカンピナス大学で3月2−4日に開かれた。ブラジルは商業ベースでの採算に十分見合う高品質の石英埋蔵量を持ち、世界で消費されるシリコンの多くを供給している。

河辺隆也高等研究所兼任教授によると、研究会は政府、企業、大学などから100人以上が参加し、大きな成功をおさめた。「採掘からシリコンに精製するまでの石英加工プロセスを段階ごとに見ることができた」と河辺教授はいう。

河辺氏は木炭の代わりにプラズマを使うことを業界に提案している。「水素ガス中で放電してプラズマを作り、それを石英に投射する。そうすると水素プラズマとの化学反応で石英から酸素が分離する」と同教授は説明する。「経済的に採算が合えば、この方法は木炭を使うよりすぐれた効果がある。そのうえ、森林伐採の必要がなく、生産プロセスから炭酸ガスや一酸化炭素が大気中に排出されることもなくなる」

研究会では今後4年間の作業計画が作成された。そのなかで、石英取り引きを環境的に持続可能な形に改善する方法の研究、シリコン生産を非汚染型にするために移転すべき技術の選別、新たな産業基準に組み込むべき代替政策案作り、の三つの研究テーマが決まった。プロジェクトの第2回研究会は10月に東京で開かれる予定。