1998年12月    

自治体での雨水利用を拡大しよう
──「雨水フォーラム」が市民に訴える

本全国の専門家および自治体関係者が市民と手を組んだユニークなフォーラム、「雨水利用自治体・市民フォーラム」が8月7日、東京のすみだリバーサイドホールで開かれた。このフォーラムはこれまで利用が少なかった雨水を雑用水や防災用水に積極的に活用するため、知恵を出し合おうと、4年前から始まった運動である。

国連大学のユハ・ウィット学術審議官は基調講演「都市の持続可能な水戦略−世界・日本」で、「雨水は数千年にわたって利用されてきたが、主に農村地帯でのことで、大都市ではほとんど無視されてきた」と述べ、世界人口の3分の1はすでに水のストレスを経験し、2025年には世界人口の3分の2、55億人近くが良質の水の供給を受けられない恐れがあると指摘し、それを解決する手段の一つとして、雨水利用の必要を説いた。

世界、特にアジアでは人口の増加が続いており、しかも増加する人口の都市集中が著しい。ウィット氏は「大都市における飲料水が将来の持続可能な成長の計画に、重要な要素となることは明らかだ」と言う。

さらに第二の基調講演を行った高橋裕東京大学名誉教授は「雨水の利用は水のサイクルの若返りにも重要な役割を果たしている。これまでは開発が水サイクルを大幅に変えてしまった。すなわち、道路やビルが増えると川への水の流入が増え、都市での洪水を引き起こす。また地中への浸透が減るために、地下水のレベルが低下する」と説明する。

環境庁および東京都庁の関係者もこの意見に賛成で、水サイクルを改善する措置が必要だと述べている。

「都市の持続可能な発展のためには、水のサイクルを回復しなければならない」と、遠藤保雄環境庁水質保全局長は述べた。環境庁の作業グループでは、森林、井戸、自然の泉などを保護し、回復させて健康な水のサイクルに寄与する試みを進めている、と遠藤局長は言っている。雨水利用を進める全国市民の会の辰濃和男会長は、雨水利用の経済的効果をよく知ってもらう必要があり、経済的な動機も非常に重要だと主張した。

その後のスピーチで、全国6都市の市長が、雨水利用の現在と将来に関するパネル討議に参加した。

会議の初日には、雨水保管タンクの利用を促進するために市民と産業の連携を強化することの重要性を訴える宣言を採択した。宣言は同時に、遠い河川の水に頼らずに、自分たち自身で水を確保すること、雨水利用の総合的計画の促進、水サイクル回復のための地中への浸透改善を強調している。宣言はさらに自治体が市民と産業の雨水利用プロジェクトを実現するため、支援することを訴えている。