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| | 1998年12月 |
人間と海:水の惑星の危機、海洋の汚染をどう防ぐか
――国際会議「人間と海」で幅広い討議
国連大学は東京大学海洋研究所、岩手県と共催で、10月29日から11月2日まで、東京渋谷の国連大学本部や岩手県盛岡市、釜石市で国際会議「人間と海」を開催した。国連は今年を「国際海洋年」として海洋の重要性をアピールしており、今回の国際会議はこの国際海洋年を記念したもので、世界的に重要な研究フィールドである三陸海岸を持つ岩手県と国連大学とを結んで、海洋の諸問題を話し合うユニークな国際会議となった。この国際会議は国連教育科学文化機関(ユネスコ)、国連環境計画(UNEP)の後援で開かれたものである。
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| エリザベス・マン・ボルゲーゼ博士
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会議は二部に分かれ、第一部の国際シンポジウム「人間と海」は10月29日(木)午前10時から午後5時40分まで、国連大学で「人間と海とのかかわり」、「外洋・沿岸環境に対する活動」などをテーマに行われた。J・A・ファン・ヒンケル国連大学学長の挨拶の後、フランソワ・ドゥマンジュ・モナコ海洋博物館館長、平啓介東京大学海洋研究所長などが座長となって、討議を進めた。
第二部国際海洋環境シンポジウム「海洋汚染と生物多様性」は、10月30日(金)に国連大学、11月1日(日)に盛岡市岩手県立大学、同2日(月)に釜石市三陸・海の博覧会記念館で開催された。ロバート・L・ブラウネル博士(米国立海洋水産機構)や宮崎信之東大海洋研究所大槌臨海研究センター長などが座長となって、問題が深刻化している海洋汚染の問題を協議した。
会議では特に沿岸資源の管理、地球的・地域的な海洋汚染、それが海洋の生物多様性に及ぼす影響などについて、世界各国の専門家が意見を述べ、国際的な規模での海洋環境研究の強化について行動計画を提言した。
テルトゥ・メルバサロUNEP水資源部長(代理)は基調講演で、海洋管理の複雑さを説き、多様な関係国際機関、各国政府が地域海洋プログラムで大きな成果を上げていることを賞賛した。海洋汚染の問題を所管する国際機関は八つあり、たとえば下水汚染は世界保健機関、放射性物質は国際原子力機関、栄養素と堆積物は国連食糧農業機関、石油は国際海事機関、居住地破壊は国連環境計画といった具合である。
UNEPの地域行動プログラムは、これらの機関や各国政府の13の地域における活動を調整し、環境評価、環境管理、立法、財政措置などを実施してきた。世界の人口の60%以上が沿岸から100キロ以内に住み、ほとんどすべての人々が河川流域に住んでいる。同氏は「われわれが汚染した水が浄化され、この巨大な浄化システムが十分に機能するのを、自然は忍耐強く待っている。それなのに、われわれは今も汚染を続けている」と指摘した。
地球規模の問題を含む「海の波紋」を出版
国連大学出版局が最近出版した「海の波紋:地球資源としての海洋管理」(The Oceanic Circle: Governing the Seas as a Global Resource)はローマクラブ会員のエリザベス・マン・ボルゲーゼ博士の著書で、海洋問題の学際的研究をまとめたものである。
海の波紋とは、モハンダス・ガンジーが社会秩序を、石を水に投げ入れた時に生じる波紋に比較したことからきた言葉である。国連の1982年の海洋法条約、1992年リオ地球サミット以後の各種の協定などに見るように、海洋の管理は社会秩序全体に深い影響を及ぼしており、個人、都市、国家、地域、そして世界経済もその影響の下にある。
魚の乱獲、汚染、気候や海水面の変化、生物多様性保全などの緊急の課題も多く、前例のない対応と協力が求められている。本書は海の波紋が地球の生物圏全体を包んでおり、地球の複雑な秩序を動かしていることを明らかにしている。
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