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| | 1998年12月 |
| この「視点」のエッセイ・シリーズは、世界的に緊急な課題を学術的な立場から解明するという、国連大学の使命を反映するための企画です。国連大学プログラム・コーディネーターのジュリアス・コートは、政策論文「グローバル経済へのアフリカの参加を強化する」の一部として、このエッセイを書きました。全文は国連大学のホームページ、http://www.unu.edu/hq/academicに掲載されています。このエッセイは第2回アフリカ開発会議(TICADU)に関する議論として、デイリー・ヨミウリ10月16日号にも掲載されました。(TICADUについては9ページ参照)(編集部から)
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アフリカが直面するグローバリゼーションの脅威と恩恵
ジュリアス・コート
21世紀がアフリカ各国政府に投げかける難問のひとつは、グローバリゼーションへの参入拡大、強化をどう進めるかである。それも、その恩恵をアフリカの多くの人々が継続的に受け取れる形でなければならない。
グローバリゼーションは、後発途上国家にはまたとないチャンスでもある。とくに大きなメリットは、世界の市場や資本、技術へのアクセスが容易になることだ。韓国、マレーシア、タイなどのアジア諸国に加えて、アフリカのモーリシャスなどは、世界へ開かれた経済戦略によって過去20年間に国民所得を倍増させた。最近の金融不安のなかにあっても、このグローバリゼーション指向の流れは変わらないだろう。
逆にグローバル経済から外れることは、進歩から取り残されることを意味し、成長の鈍化は免れられないだろう。これまでその立場を痛いほど味わわされてきたのが、アフリカ諸国である。1950年代半ばにサハラ以南のアフリカが世界貿易に占めていたシェアは3.1%だったが、その後は減少に転じ、1995年には1.4%にまで落ち込んでいる。さらに現在、アフリカ諸国は海外投資家の投資意欲を誘う状況にはない。
アフリカ各国政府の選択肢
マクロ経済基盤の安定確保:マクロ経済の安定は古典学派のいう原則だが、今もそれは基本的に正しい。アフリカの「成長の悲劇」といわれるものは、マクロ経済指標の主要項目の安定維持に失敗した政府にその責任の一端がある。いまのところ、これらの項目のいずれにも着実な改善が見られないことが気がかりだ。
貿易自由化は必要だが、慎重に:国際貿易市場においてアフリカ諸国がその役割を拡大するには、各国の貿易管理制度の一段の規制緩和が必要になる。しかし一方、自由化の順序、ペース、段階的導入などに慎重な配慮が求められる。
地域的力学を踏み台に:経済力という意味では、アフリカ全体の市場はベルギー1国にほぼ匹敵する。問題はそれが40もの異なる国家に細分化されていることだ。アフリカが地域全体の総合的経済力を活かすには、隣接国同士が商品を自由に流通させ、決済できるようにすることが出発点となる。それと併せて道路、通信設備など地域全体の社会資本の整備が進めば、さらに大きな複合効果が望める。
焦点は一次産業に:アフリカのグローバリゼーションへ向けた戦略は、アフリカ各国経済の実態を反映したものでなければならない。工業化の段階へ進むために必要な社会基盤と人的資源がすでに備わった国も一部にはあるが、それ以外のほとんどの国は産業革命以前の段階にとどまっている。したがって当面は、一次産品輸出の立て直しに全力を投入すべきだ。
資本の流れを管理せよ:アジア金融危機を早めることになった、経済規模に見合わない大量資金の流出入は現在、アフリカではまだほとんど起きていない。しかしアジアの金融危機は、金融市場開放を慎重に進めることと合わせて、特に健全な金融システムの育成が絶対条件であることを教えている。
制度の確立:今のアフリカでは、政府が正しい経済政策を打ち出すだけでは解決にならない。国内の各種制度の欠陥が、経済の全般的機能、とりわけ輸出入の面で致命的な足かせとなっている例が数多く見受けられるからだ。特に正常な商慣行の阻害要因としてアフリカで目立つのが、事前通告なしの条例や施策の変更、当てにならない法の適用、そしてわいろの横行である。この種の弊害の徹底的排除に当局が取り組まないかぎり、アフリカ各国の国内経済と貿易の振興は望むべくもない。
先進国の協力のあり方
ODAの抜本的改革:政府開発援助(ODA)を、これからのアフリカと世界との関係の効果的な調整弁とするためには、いまのODAのあり方を基本的に改める必要がある。拠出国は、調達面での付帯条件や不当な内政関与、長期視点の押しつけなどをやめるべきだ。さらに、所有権と義務履行の姿勢が確実な国に援助が集中するよう、拠出相手国を厳しく選別すべきだろう。
債務の軽減:アフリカの発展にとって、債務は大きな負担になっている。例えば、タンザニアでは債務償還に当てる額が国の医療費と教育予算を合わせた額の9倍にも上っている。こうした例は、アフリカの対外債務の大幅軽減が切迫したニーズであることを物語っている。
市場開放の保障:アフリカ各国のグローバル経済への融合を促すもっとも有効な手段は、アフリカの輸出産品に対してOECD各国がそれぞれの国内市場の開放を約束することだろう。アフリカの主要産品である農産物と繊維製品にとって、これは大きな意味を持つ。農産物市場と繊維市場は、いずれもアフリカが比較的優位にある市場にもかかわらず、現状はきわめて保護色の強い市場であるからだ。
戦略的融合
アフリカ諸国が貧しさから早急に脱却するためには、なんとしてもグローバリゼーションの影響力を積極的に利用するしかない。そのメリットを最大限に活かす一方で、リスクを避けるためには、各国それぞれに戦略的取り組みが求められる。
まず多方面でのアフリカの政策的統合が必要である。とりわけ貿易、投資、資本の移動、技術などの市場の統合が望ましい。グローバル経済への参入を果たすための理想的開放度、理想的政策ミックスなどは、それぞれの市場ごとに、その市場の成熟度によって変わってくる。
国際間の相互作用が深まったとはいえ、現在の情況は、地域ブロックごとに域内貿易が盛んな「つぎはぎグローバリゼーション」なのだ。こうした様相にとどまるグローバリゼーションに対応するには、グローバル指向一本槍ではなく、むしろ地域対応型の戦略的な取り組みが望ましい。
最後に、グローバリゼーションのもたらす利益は、国内レベルで均等に配分することが難しいことは明らかだ。したがって、経済が地球規模で融合する際に生じる不平等がそのまま拡大投影されるのを防ぐために、なんらかの施策が必要となる。
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