国連大学は、第4回「国連大学国際講座」を2003年の5月19日から6月27日までの6週間、東京の国連大学本部で実施します。この講座は、将来、国連機関や多国籍企業、国際的NGO、それに各国外交機関など、公と民間の両分野で国際的職務に就くことを希望する各国の大学院生と大卒資格をもつ社会人のために、国連大学が毎年開く短期研修講座です。講座ではグローバルな問題を理論と実践の両面から考察します。
講師は、国連大学内外の研究者および専門実務家がチームを組んで各科目を担当します。専門実務家は国連諸機関の専門職員が大半を占め、それがこの講座の際立った特徴でもあります。受講生は講師らと直接接触でき、また、国連大学学術部門の研究者らが学術カウンセラーとして受講生に助言や指導を行います。講座の内容は、国連大学本部と世界各地にある国連大学研究・研修センターあるいは研究・研修プログラム(RTC/P)で実施されているさまざまな研究プロジェクトに関連するものが中心です。講座は高い学術的レベルをめざしますが、その分野以外を専門にする大学院生および分野の異なる仕事に従事する人も受講できます。
IV. 「国際協力と開発」*
(*この科目は日本政府が設けている秋野豊記念基金の支援を受けて「2003年度秋野記念講座」と命名します。)
(各科目の内容説明はこちらを参照)
各科目はそれぞれ90分授業18回で構成し、授業は週に3日間づつ、6週間継続して実施します。各科目ともかなりの読書量と自習を必要としますが、科目ごとに日程は予習、復習に十分な時間が確保できるよう配慮されています。
毎日の時間割
授業日には3回(10:00−11:30、14:00−15:30、17:00−18:30)の授業を行います。1日3回の授業がすべてひとつの科目で行われることはありません。最終的な時間割は2003年5月に発表します。
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受講の効果
国際講座には次のような効果があります。
- 主題に関する高度で洗練された洞察力が身につく。
- 分析力と問題解決能力が向上する。
- さまざまな学術的、職業的背景と多彩な民族的色分けを代表する、世界各国からの受講生との知的交流ができる。
- 多様な文化的背景の受講生との共同作業を通じて人的交流のネットワークが広がる。
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学習環境
学習環境にも以下のメリットがあります。
- 講師を務める専門研究者と専門実務家がそれぞれ相互補完的に理論面、実践面からの視点を提供する。
- 国連機関職員を含め、各国有数の研究者、専門実務家らによる招待講演を聴く機会がある。
- 図書館を含め、国連大学の施設と参考文献、資料等を自由に利用できる。
- 講師以外の国連大学学術スタッフによる、小人数のグループでの身近かな指導と助言が得られる。
- 世界有数の先端的大都市での生活を体験できる(主として日本以外の国からの受講生の場合)。
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国際的講師陣
国際講座は、国連大学本部が実施するもので、各科目の教科主任は国連大学の学術専門職員が担当し、一部の講義も受け持ちます。原則として各科目の講師陣は、国連大学本部および世界各地の国連大学研究・研修センター(あるいはプログラム)在籍の学術専門職員と科目に関連する国連大学研究プロジェクトに参加している各国研究者のほか、国連諸機関およびその他の国際機関の職員、各国の大学教授、関連分野の専門実務家などで構成します。
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受講料と奨学金
受講料は、1科目が10万円、2科目同時受講する場合は2科目で15万円です。途上国出身者**には限られた数の奨学金が用意されます。途上国出身者で2科目同時受講し、かつ財政援助の必要性が裏付けられることが条件です。奨学金希望者は、国連大学奨学金申込用紙に記入して下さい。申込用紙は国連大学のホームページで入手できますが、ハードコピーを希望される方は「国連大学国際講座係」へご連絡下さい。
**
http://www.worldbank.org/data/databytopic/class.htm#High_income - を参照。
・・・・・高所得国に分類されている国以外のすべての国からの参加者が国連大学奨学金申し込み資格を有します。
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宿泊施設
国連大学は、東京都内居住者を除くすべての受講生のために、低料金の宿泊施設を都内に確保しています
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修了証書
1科目以上を無事修了した受講生には国連大学国際講座修了証書が授与されます。修了証書授与の条件として、指定されたテーマの小論文の内容、出席状況、クラス討論での積極性などが勘案されます。
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「国連大学国際講座」申し込み要領
国連大学国際講座受講希望者は、所定の申し込み用紙に記入のうえ、卒業大学の成績表とTOEFL得点表(英語が母国語でない方は、TOEFL-Paper-based 550 / Computer-based 213- 以上または同等の英語力を証明するもの)を下記の「国際講座係」に提出するほか、3人の方からの推薦状が必要です。いずれも、2003年1月20日(必着)で受付を締め切ります。提出書類は推薦状を含めてすべて英文のものしか受け付けませんので、ご諒承ください。
規定の講座期間中に2科目まで同時に受講できます。
国連大学ホームページ http://www.unu.edu/ic/に国際講座の詳細と申し込み用紙が載っています。
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申し込み用紙

問い合せ先:
Ms. Wilma James
Training Assistant, United Nations University
5-53-70 Jingumae, Shibuya-ku, Tokyo 150-8925, Japan
Tel: 03-3499-2811;
Fax: 03-3499-2828;
E-mail: james@hq.unu.edu
申込締め切り: 2003年1月20日(必着)
応募数が多いため、申し込み受領の通知はいたしません。
また、選考結果はショートリストに入った方にのみ連絡いたします。
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選考基準
応募者の選考は、国連大学国際講座委員会が主に次の基準に照らして行います。
- 応募者の学歴および職歴の講座との関連性ならびにレベル
- 応募者が希望する科目と応募者の将来目指す職業との関連性
- 地球規模の諸問題に対する応募者の関心度
- 分析能力
- 大学の成績と専門領域での成果
- 英語力
国連大学は研究・教育事業の全般において、地理的およびジェンダーのバランス、専門分野や文化的背景の多様性を実現すべく努めています。
各科目の概略
(各科目の週ごとのテーマは変更されることがあります)
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「武力紛争と平和維持」
目的
冷戦の終焉も、世界に平和をもたらすことはありませんでした。武力紛争は地球のいたるところで発生し、それが人間の生命や財産、さらには政治・経済に膨大な損害を与えています。今日の紛争はひとつの国家内で起きるケースがほとんどで、そのことが従来の国際的メカニズムを通じた解決を難しくしているのです。しかし、国連やさまざまな地域機関は、国内、国家間いずれの紛争に関しても、紛争地域に平和と安定をもたらすべく努力してきましたし、程度の差はあれ、確実に成果も上がっています。平和維持活動は依然として国連のもっとも「目に見える」最重要任務のひとつです。新たな紛争が発生するたびに国連の平和維持活動はその有効性と正当性をめぐりしばしば試練の場に立たされてきました。さらに、紛争の性格が一段と複雑化する中で、平和維持活動も単なる停戦ラインの確保維持といった任務を大きく越えて、より持続的で多様なものになっています。最近の国連や地域機関による平和活動の取り組みには、紛争予防から、紛争の管理、紛争後の社会やインフラ、司法・警察制度などの再構築にいたるまで、広範囲にわたる活動を組合わせるようになっています。
本コースは、冷戦後世界に頻発する武力紛争という挑戦を受けて、国際社会の対応が変化しつつある現状について考察と分析を行います。コースは今日の武力紛争の背景にある原因の考察から出発し、国内、国外の関係機関の支援のもとで行われる紛争の調停と解決のための作業について討議します。続いて、武力紛争予防の可能性、これまでの経験に照らした従来の平和維持活動の欠点と課題、そして紛争解決後の平和構築への国際社会の関わり方などを検証します。最後に、国連平和活動を自己評価し、かつ改善することをめざす国連内部における最近の動き、そして提起された改革案実施の実現性と可能性に関するアセスメントを行ってコースは終了します。
第1週 「紛争分析」
- 社会紛争、政治紛争、経済紛争の概要
- 紛争の根と原因
- 国内紛争、国際紛争の理論
- 紛争の各段階
- 紛争のタイプとアクター
第2週 「紛争解決」
- 誘導、調停、交渉、仲裁
- 調停から解決まで
- アクター(複数)、タイミング、目標、環境作り、資源
第3週 「紛争予防」
- 初期警報の分析
- 予防手法の確認・評価
- 紛争予防の主流化
- 概念から政策へ――実効性のある紛争予防へ向けて
第4週 「平和維持活動と平和支持活動」
- 平和維持活動の進化
- 成功例と失敗例
- 人道的介入
- 選択的介入
- 国連平和維持活動に代わる地域的代替活動
- 平和維持のための研修
第5週 「紛争解決後の平和構築」
- 政治、経済、社会、安全保障各面での課題
- 民主化と平和構築
- 和解と復興
- 正義と実利主義の対立
- 国連保護領:国連コソボ暫定統治機構(UNMIK)と国連東ティモール暫定統治機構(UNTAET)
第6週 「平和活動の改革――改革案とその実施」
- 紛争複雑化にともなう任務行動の複雑化
- 国連平和活動改革に関するブラヒミ報告書
- 権限、資源、政治的意思それぞれのギャップ
講師陣
国連大学「平和とガバナンス」プログラムの専門職員と外部から招く講師が講義を担当します。
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「環境と持続可能な開発」
2002年のヨハネスブルクでの持続可能な開発に関する世界サミットは、貧しい人たちの生活向上を図り、地球環境悪化の流れを逆転させる作業に積極的に取り組むことを決めました。これによって持続可能な開発を促がす努力に一層の拍車がかかり世界サミットは、可及的速やかな行動と目に見える結果をつくり出すための共同作業の必要性に関して共通認識の醸成に成功しました。このコースでは、環境問題そのものの理解と、持続可能な形で人間が環境に関わる方法についての理解を深めるため、環境と持続可能な開発に関する時局性のある問題や政策関連課題のすべてを概観するなかで、人間と環境の広範囲にわたる相互作用を含めてさまざまな環境問題を個別に取り上げていきます。参加者は、環境問題への対応における複合領域的アプローチを経験することになります。とくに、天然資源のなかで再生が可能なものと不可能なものの両方に焦点を当て、途上国がこれらの問題に対処するうえで直面する特有の難しさを考察します。土地の劣化、森林破壊、砂漠化、大気と水質の汚染、人体への影響、生物多様性問題、沿岸管理など、一連の問題の社会的、政治的、経済的側面についての理解を深めるため、それらに関する事例研究を行います。また、開発事業あるいは開発政策の環境面との妥当性判断に必要になる、環境への主だった累積的影響をいかに軽減するかもテーマに取り上げます。地球レベルおよび地域レベルでの環境問題と政策およびガバナンスに関する分析もカリキュラムの一部です。
第1週
- コース全体の紹介
- 環境対策の歴史的経緯
- 環境に関する各種国際的制度
- 途上国のための持続可能な開発の枠組(SDF)
- バイオ技術が抱える倫理上の問題
第2週
- 天然資源の持続可能な開発のための総合的計画
- 持続可能な開発と貧困解消に向けた天然資源の変換
- 生物多様性問題
第3週
- 水に関する政策、経済学、管理、需要
- 沿岸と海洋の自然環境
- 地球温暖化と気候変動
- 砂漠化対策
第4週
- 各種多国間環境協定(MEAs)相互間のインターリンケージ
- 脱国家型環境政策と政府開発援助(ODA)
- 国際的環境ガバナンス
第5週
- 持続可能な開発と環境工学
- ゼロエミッションの概念――原料の循環と排出物管理
- 環境モニタリング――汚染物質の環境内での作用
- 環境会計と監査
第6週
- 持続可能な都市開発――都市と持続可能なエコシステム
- グローバル化と都市の持続可能性
- 環境と持続可能な開発領域における国連大学の活動
- コース全体のレビュー
講師陣
講師は、地球環境パートナーシッププラザおよび国連大学高等研究所を含む国連大学「環境と持続可能な開発」(ESD)プログラム所属の学術専門職員と外部から招く環境問題の専門研究者が担当。
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「人権――概念と問題点」
目的
人権の概念は、民主主義のシステムと国際的制度の発展に基本的役割を果たしてきました。しかし、その範疇、異なる文化を背景にした場合のその妥当性、あるいは国家主権を乗り越える理由づけとしての正統性に関しては、いまだに議論が続いています。このコースは、適切な歴史的、比較的、かつ全地球的視野に立って人権問題を取り扱い、今日の人権に関する諸問題について現実的な解決を見い出すために必要な知識と分析能力を受講生に学習してもらうことが目的です。コースは、国民性や歴史、文化など、それぞれに異なる文脈のなかでは人権の認識や定義に違いが生じることに慎重に配慮しつつ、人権概念の理論的あるいは法的根拠、さらにその進化の歴史的過程と政治的意義を展望することからスタートします。この理論的基礎に立って、人権機関の法的基盤と政治的機能の点検・評価を行います。また学習した一般的知識を応用かつ援用しつつ人権擁護の実態、人権関係の協定や制度の歴史と現状を分析します。とくに女性と子どもの人権、難民の保護、そして人権と開発など、現在、大きく論じられている問題領域に焦点を当てます。最後に、人権に関する各地域の制度を比較分析することによって、さまざまな人権問題相互間のインターリンケージを探ります。
第1週 人権――概念と規範
第2週 人権関連機関とその活動の法的、政治的視点からの分析
- 国際的人権擁護協定と組織
- 国連機構内の制度的メカニズムとその有効性評価
- 各国政府、非政府機関、専門家などの役割
第3週 人権をめぐる現在の問題――女性と子どもの人権
- 女性と子どもの権利に関する規範、制度、実態
- 国際的視点と国家的視点のリンケージ
- 事例研究
第4週 人権をめぐる現在の問題――難民保護
- 難民の人権保護のための法的、制度的枠組み
- 現在ある諸問題、事例研究
第5週 人権をめぐる現在の問題――グローバル化
- 開発への人権重視の取り組み――概念的枠組み
- 実際面における人権重視の開発政策
第6週 地域的視点
- 稼動中の地域的人権保護のメカニズム――アフリカ方式
- アジアにおける人権保護体制
- 比較的視点
講師陣
人権問題に詳しい国連大学の学術職員と外部から招く研究者ならびに人権関連機関の専門職員が担当。
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「国際協力と開発」
目的
国際開発の基本的要素と、国際協力と開発がもたらす結果との関連性について理解を深めることが、このコースの目的です。前半では、開発の理念と実態にみられる進化の概要、そして世界各地の人間と国家と市場の間での相互作用を比較した分析結果を紹介します。この部分では、開発の必要性と、その前途に横たわる障害を分析するための理論的手法について考察します。つぎに、開発にまつわる主要問題領域、とりわけ経済成長、貧困解消、教育、医療、ジェンダー、文化、民主主義、正しいガバナンスなど切迫した政治的問題と、これらの領域での進歩を速めるべく努力する国際社会の行動のあり方を検証します。
コースではとくに、既存の市場秩序を乱すグローバル化の問題とグローバル化時代における開発戦略の課題を重視し、国際協力における異なるアクターの役割と国際協力の最善のあり方について考察します。シアトルに続いてワシントンとジェノバで起きた大規模なデモ騒動を勘案し、貿易と開発の問題そして世界貿易機関(WTO)の役割をめぐる論争を中心に討議するほか、開発援助に携わる主要アクターが直面する課題についても取り上げます。国連とブレトンウッズ・システム、さらに日本の開発援助諸機関の有用性についても討議します。
第1週 開発の理論、歴史、政策
- 全体の概要説明と序論
- 開発理論と実践
- 国際協力の進化
第2週 グローバル化、経済成長、貧困
- グローバル化と経済成長
- 経済成長と貧困解消
- 討論 「人間開発報告書1999−グローバリゼーションと人間開発」と「世界開発報告2000/2001−貧困との戦い」
第3週 社会開発と市民社会
- 文化と開発
- ジェンダー
- 討論 「NGOと新しいアプローチ」
第4週 ガバナンスと開発
- なにが正しいガバナンスで、なぜそれが重要なのか?
- ガバナンスと開発援助
- 討論 「人間開発報告書2002−ガバナンスと人間開発」
第5週 国際貿易と開発
- 貿易と開発――理論と歴史
- 途上国のための通商政策
- 討論 「WTOとグローバル・ガバナンス」
第6週 日本と国際協力
- 日本の開発協力――理念と歴史
- パネル討論「日本の国際協力と今後の課題」
- 最終討論 「グローバル化時代における開発の課題」
講師陣
国連大学学術職員ならびに世界各地の学術機関、国際機関、日本の開発協力関連機関から招く講師が担当。