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この記事は、朝日新聞より許可を得て転載しています。

日本と国連 「今こそ支援の強化を」

国連大学学長 ハンス・ファン・ヒンケル

  国連改革に関するハイレベル諮問委員会の報告書は日本にとって二重に喜ばしいものである。第一に日本を安全保障理事会常任理事国にふさわしい国として認めたことであり、第二に日本の外交政策を支える「人間の安全保障」の理念を、国連政策の一つのモデルとして支持したことである。

 そうした今こそ、日本が行ってきた国連システム全体への重要な支援について再評価し、国際社会のよき一員としての具体的証しである支援を、維持し強化する決意を固め直すいい機会だ。過去50年にわたる日本の重要な政治的・物質的な支援がなかったら、国連の実効性も有効性も、もっとそがれていただろう。

 国連の重大任務として、本来の平和と安全の維持に開発も加わった。平和と開発を知的、政策的レベルで結ぶ概念が「人間の安全保障」だが、日本はこの分野で最も有力な推進役となり、財政支援などを通して国連の理念と規範の土台を強化してきた国の一つだ。

 今年は日本の政府途上国援助(ODA)50周年である。来年は国連創設60周年だ。カンボジアやスリランカでの例が示すような平和外交とODAを通じた日本の国連貢献を思い起こす好機といえる。日本の外交政策は、人間の安全保障に焦点を当てることで平和と開発を実践レベルで統合している。統合の最も具体的な例は、人道支援団体への貴重な支援であろう。

 国際的人道活動に携わる日本の非政府組織(NGO)の能力が高まれば、統合はさらに確固としたものになる。日本の人道NGOは国連機関の作業に加わることで他の国際NGOと共同作業するための経験や専門知識、管理能力を高められる。主な国連機関は日本に事務所があり、意欲的で有能な日本の若者に貴重な実地訓練の機会を提供できる。

 日本とインドを、中国と並ぶアジア代表として国連安保理常任理事国入りさせるという案は、この2カ国が世界人口の半数以上を抱えるアジア地域で指導力を発揮すべきだという、ほとんど異論のない現実を認めたものだ。それには、アジア太平洋地域の国連諸機関と連携するのが最も効果的かつ効率的である。

 国連改革がうまくいかず、援助の現場で担う国連諸機関の役割が再評価されず、活動継続に必要な資金を得られない状況になれば、人間の安全保障を強化するための国連機関の能力は大打撃を受けるだろう。 国連事務局は加盟国からの義務的な分担金で活動しているが、多くの国連諸機関は主な活動資金を任意拠出に頼っている。ハイレベル諮問委の報告が任意拠出を常任理事国入りの重要な基準の一つとして再確認したことを強調したい。

 任意拠出が頼みの国連諸機関は、国家活動を補完、補強し、時には代行できる。例えば、日本がアフリカに配置する大使館の数には限りがあるが、日本は「アフリカ開発会議」や「アフリカ開発のための新パートナーシップ」のプロセスを通してアフリカの開発を力強く支援している。

 国連難民高等弁務官を務めた緒方貞子氏の素晴らしい業績と傑出した人柄もあって、日本が伝統的に力を注いできた分野に難民支援がある。資金不足は難民の中でも最も弱い立場にある人々への緊急援助を滞らせ、アフリカでは難民や国内避難民の帰還と復帰が遅れる可能性がある。最悪の場合には、難民保護に必要な国連の現地要員が大幅に縮小されかねない。

 世界がようやく日本にふさわしい評価を示そうとしている時だからこそ、国際社会に開かれた窓である日本事務所をもつ国連諸機関に対し、日本が貴重な支援を継続することは、一層重要になってくる。

2004年12月23日 朝日新聞掲載