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この記事は、朝日 新聞より許可を得て転載しています。

事業所対策に認証制度を     国連大学副学長 安井至

地球温暖化防止のための京都議定書が先月、発効した。世界の科学者が温暖化について警告を発してから20年。温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)などの削減目標など定めた同議定書がやっと日の目を見る。

 発効を受け、CO2などの排出量の削減が急務になった。大きな工場や発電所は、エネルギー変換効率を高めたり、効率のよい機器に転換しなくてはいけない。人やモノの移動は、効率の高い自動車の導入に加え、鉄道などを積極活用する必要があるだろう。こうした分野は、何をすべきかが具体的にわかっている。

 これに対し、これまであまりCO2を意識してこなかった市民一人ひとり、そして、中小の事業所や個々のオフィスで、どのような対応を取るべきか。これが日本でのCO2排出量削減の最大の鍵を握っている。実際、家庭部門からの排出量は、90年に比べ、なんと28・9%、業務部門に至っては36・8%と、大幅に増えている。削減の目標値である「90年比マイナス6%」との開きは大きい。

中小企業などからは、「どうやってCO2を減らしたらいいか分からない」といった声がよく聞かれる。CO2削減などの方法を教えてくれる上に、認証・登録もしてもらえる仕組みとして、昨秋登場した「エコアクション粕F証・登録」(http://www.ea21.jp)は、こうした声に応えようという試みの一つだろう。

 CO2の排出量などが集計できるチェックシート、二百数十項目にわたる自己チェックリストなどにそって取り組み、活動リポートを作成すると、環境対策の専門家が審査・助言し、認証・登録される。15万〜40万円と、中小企業やSOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)などにとっても手ごろな金額で済む。CO2排出量を減らし、加えて環境に配慮した企業との「証し」を得られ、市場でアピールすることもできる。

 同種の制度では、国際標準化機構(ISO、本部・ジュネーブ)の規格「ISO14001」が有名だ。審査機関の審査に通れば環境優良企業の「お墨付き」が得られるもので、日本でも、取引に有利だとして、認証の取得がブームになった。しかし、審査基準が社内システムの構築・運用に限られ、CO2削減などの環境対策の具体策は示していない。そのうえ、審査、登録に膨大な文書などが必要で、費用は数百万円に達する。

 こういった認証制度が広く普及することは、業務部門でのCO2排出量削減を実現する一つのきっかけになるだろう。残る家庭部門の削減のためには、さらに知恵を絞る必要があるが、このような仕組みが端緒になるかもしれない。

2005年3月5日 /朝日新聞