大学の概況−1997年度
新学長の就任
コフィー・アナン国連事務総長は、8月末で任期満了となったグルグリーノ・デソウザ前学長の後任として、ハンス・ファン・ヒンケル博士(オランダ・ユトレヒト大学学長)を第4代の国連大学学長に任命した。アナン事務総長はフェデリコ・マヨール・ユネスコ事務局長との協議の末にこの人事を決め、新学長は9月1日に就任した。ファン・ヒンケル博士はオランダ出身で、1992年からは国連大学理事を務めていた。
副学長ポストを公募
猪口孝国連大学上級副学長が4月に任期満了したのにともない、国連大学は夏から副学長ポストの候補者(複数)を公募した。エコノミスト、クロニクル・オブ・ハイヤー・エデュケーション、ルモンド・ディプロマティクなどの国際的なメディアに募集広告を掲載、11月には最終リストの候補者に対する面接も行われた。国連大学理事会選考委員会は、1998年始めにファン・ヒンケル新学長に候補者を推薦する予定。
(注:副学長には鈴木基之東大生産技術研究所長、ラメシュ・タクール・オーストラリア国立大学平和研究所長、また学長上級顧問には佐藤英夫筑波大教授が任命され、いずれも1998年4月1日から就任した。)
国連大学国際ソフトウエア技術研究所長に周巣塵氏
マカオにある国連大学国際ソフトウエア技術研究所(UNU/IIST)では、7月末に任期を終えたディネス・ビョルナー所長の後任に、周巣塵同研究所首席研究員が任命された。周教授は1992年から5年間、同研究所の首席研究員を務めている。
第44回国連大学理事会
国連大学第44回理事会は1997年12月1日から5日まで、東京の国連大学本部で開かれた。主な議題はファン・ヒンケル学長による国連大学の業績評価の検討で、学長は評価報告書を提出した後、今後の国連大学の進むべき方向とそのための具体的な方策を決定するため、大学の全機構についての戦略的計画立案を提案した。
また理事会では3件の重要な課題が検討された。一つは20年前から実施されている国連システム内評価が今年、国連大学について行われることだ。これによって国連大学が1987−97年の11年間に、憲章に定められた目標をどの程度達成したかが評価される。もう一つの事業は国連の合同検査部が行う審査で、結果は国連総会に提出される。この二つの評価はいずれも国連大学の機能を強化し、その方向の決定に役立つものである。第三は、1998−99年度の2年間の予算と研究計画の採択であった。
評価
国連大学国際ソフトウエア技術研究所(UNU/IIST)の設立後5年間の実績評価が1997年中に行われた。国際評価チームは同研究所の任務達成の状況について評価検討し、今後同研究所が研究、研修、普及活動を改善して行くための方策を提案した。この報告書は学長、UNU/IIST評議会および所長の意見を添えて、12月に理事会に提出された。
新しい協定
国連大学は1997年中に以下の新しい協定に調印した。
国連大学国際ソフトウエア技術研究所(UNU/IIST)は同研究所が設置されているマカオとの関係強化に努め、マカオの情報センターの設計に関連する二つのプロジェクトに参加する協定に調印した。
- 国連大学と農林水産省食品総合研究所(つくば市)との間の覚書がさらに3年間延長された。同研究所は1983年以来、国連大学の提携機関になっており、途上国からの国連大学研修生を対象に、食品に関する科学技術研修を行っている。
- 国連大学アフリカ天然資源研究所(UNU/INRA)とガーナ政府科学産業研究評議会(CSIR)は2月、アフリカの天然資源に関する研究協力促進のための協定に調印した。
- 国連大学と一橋大学は4月、グローバルな問題についての共同研究に関する協力協定に調印した。
- 国連大学国際リーダーシップ・アカデミー(UNU/ILA)とユネスコは6月、リーダーシップ研究に関するユネスコ講座の設置に関する協定に調印した。この講座はリーダーシップを中心とする研究を促進するものとなる。
- 国連大学とアイスランド政府は6月、アイスランドのレイキャビクの海洋研究所に国連大学水産研修プログラムを開設する協定に調印した。このプログラムは毎年4月から10月まで実施され、主に途上国出身の研修生が3部からなるカリキュラムを履修する。6週間の基礎理論、12週間の専門技術研修、6週間の研修船またはトロール船実習が行われる。基礎理論では漁業政策、監視、加工品質管理、マーケティング、環境保護などを教える。
UNU/IISTとマカオ財団、中国国家科学技術委員会は5月、「マカオ情報ネットワーク・センター」プロジェクトについての初めての協定に調印した。このプロジェクトは中国とマカオの諸問題を処理する、インターネット情報センターを設立するものである。センターはマカオ財団に設置され、中国から寄贈されるコンピューター・ハードウエアが運用される。UNU/IISTはセンターを設立、管理するチームを編成する。
また6月にはUNU/IISTとマカオ中国ラテン財団は「中国ラテン・プロジェクト」に関する協定に調印した。UNU/IISTはこのプロジェクトで、インターネット情報サーバーを設計、設置する。このサーバーは全世界の中国およびラテンのコミュニティをインターネットを通じて結ぶものである。UNU/IISTが開発するサーバーは、マカオの芸術文化に対する関心を高め、中国語、ポルトガル語、スペイン語による語学研修プログラムを提供し、マカオ・中国関係に関する研究を促進する、などの目的を持っている。サーバーは中国ラテン財団に設置される。
国際会議への参加
国連大学は7月、アジア太平洋地域高等教育会議「21世紀に向けた高等教育の国家戦略と地域協力」会議をユネスコ、文部省、アジア太平洋大学協会と共催で開いた。会議の主な目的は地域内の学術協力を促進し、大学教育の改善を図ることにある。同様の会議がアフリカ、中近東、ラテンアメリカ、カリブ地域、欧州でも開かれた。これらの地域会議からの提言は、パリのユネスコ本部で開かれる1998年世界高等教育会議で検討される。
今回の会議では、アジア太平洋地域のユネスコ加盟国代表が合意、作成した行動計画が採択された。
財務
1997年12月31日現在、54ヵ国の政府、136に上る財団、企業、個人からの、国連大学基金および一般事業費や特定事業費への拠出誓約は総額で3億4,610万ドルに達しており、そのうち3億1,560万ドルを受領した。また国連大学は年度中に研修活動その他の活動の費用分担を含む、協力機関からの支援を受けている。表1はこの一年間に受領した拠出金のうち、10万ドルを超えるものを列記している。
表1:1997年度に受領した資金援助(10万ドル以上)の内訳
拠出国・団体 拠出対象 拠出額(米ドル) 政府: オーストリア 国連大学基金 119,304 カナダ UNU/INWEH事業経費 510,928 日本 国連大学本部および高等研究所事業経費、
国連大学本部特別プログラム拠出金16,963,388 ヨルダン UNU/ILA事業経費 500,000 オランダ UNU/INTECH事業経費および特別プログラム拠出金 1,001,875 スウェーデン UNU/WIDER特別プログラム拠出金 154,824 小計19,250,319 非政府機関・民間部門: 株式会社アスキー UNU/IAS特別プログラム拠出金 1,283,886 株式会社荏原製作所 UNU/IAS特別プログラム拠出金 101,207 欧州委員会 UNU/INTECH特別プログラム拠出金 364,142 いしかわ国際協力研究機構 UNU/IAS特別プログラム拠出金 144,263 株式会社島津製作所 国連大学本部特別プログラム拠出金 238,780 国連開発計画マレーシア UNU/INTECH特別プログラム拠出金 118,300 小計2,250,578 合計21,500,897
