研究成果の普及
国連大学は研究成果の普及活動を、主に学界や政府、国連諸機関、途上国を中心とする各国の学術機関や研究者を対象に行っており、最近は特にインターネットを通じての普及活動にも重点を置いている。
国連大学出版局は1997年に13,000部の学術図書を販売し、20万ドルに上る販売収入を得たほか、約1,000部の学術出版物を途上国の図書館や研究機関に寄贈した。
1997年に下記の新刊書(英文)が出版された。
このほか、12の原稿の執筆が進んでおり、1998年中に刊行される予定。『21世紀の中国:政治、経済、社会』(China in the Twenty-first Century: Politics, Economy, and Society) 『環境・エネルギーと経済:持続可能性のための戦略』(Environment, Energy, and Economy: Strategies for Sustainability) 『乾燥地域における淡水資源問題』(Freshwater Resources in Arid Lands) 『科学と社会に対するカオスの影響』(The Impact of Chaos on Science and Society) 『変化するグローバルシステムの中の新しい欧州』(A New Europe in the Changing Global System) 『新しいグローバリズムと途上国』(The New Globalism and Developing Countries) 『ラテンアメリカの地域機構と国際的安全保障』(Regional Mechanisms and International Security in Latin America) 『アフリカにおける都市の挑戦:大都市の成長と管理』(The Urban Challenge in Africa: Growth and Management of Its Large Cities) 『女性と親族関係:南および東南アジアにおけるジェンダーの比較研究』(Women and Kinship: Comparative Perspectives on Gender in South and South-East Asia) 国連大学出版局は下記の学術図書の出版を英語圏以外の2ヵ国の出版社に認めた。『アマゾニア:土地と人間の回復力と活力』(Amazonia: Resiliency and Dynamism of the Land and Its People)が、ブラジルの出版社からポルトガル語で刊行され、『科学と社会に対するカオスの影響』(The Impact of Chaos on Science and Society)が日本語で出版される。『国際ボランティアの素顔:平和の最前線にて』(Volunteers Against Conflict)の日本語版も出版が予定されている。
出版局は国連大学の研究成果を広く途上国に普及させるため、第三世界の出版社による国連大学学術図書の再版を促進している。1997年には『太平洋アジアに出現する世界都市』(Emerging World Cities in Pacific Asia)、『女性と親族関係』(Women and Kinship)、『ネパール:転機に立つヒマラヤの王国』(Nepal: A Himalayan Kingdom in Transition)の3点が低廉な価格で再版された。
国連大学出版局は販売促進のために、フランクフルト、ロンドン、東京の3ヵ所での国際書籍見本市に出品した。またデンマーク、日本、スイス、米国、ジンバブエなどの展示会にも参加した。
国連大学は1997年にヒューマニティCD-ROMプロジェクトに参加した。ベルギーを本拠とするこのプロジェクトは、学術図書をCD-ROMに収め、それを無料または低廉な価格で途上国に供給する企画である。これまでに国連大学の食糧と栄養に関するすべての出版物がCD-ROM化され、持続可能な開発に関する学術図書の大部分の読み取りが完了した。
このプロジェクトへ参加することにより、国連大学は高額な運賃を負担することなく、より多くの人々に大学の出版物を提供することができる。また国連大学はこれらの学術図書を大学のホームページに直接アップロードすることができる。
国連大学は1997年に以下の定期刊行物を発行し、あるいは発行に協力した。
『食糧・栄養報告』(Food and Nutrition Bulletin) 『食糧構成と分析ジャーナル』(The Journal of Food Composition and Analysis) 『地球の環境変化−人間と政策の次元』(Global Environmental Change - Human and Policy Dimensions) 『山岳の研究と開発』(Mountain Research and Development) 『地球規模のガバナンス:多国間主義と国際機関』(Global Governance: A Review of Multilateralism and International Organizations)
国連大学広報部は下記の広報資料を発行した。1996年年次報告書(英・和) 国連大学ニュースレターUNU Nexions(英・和) Five Years after Rio: UNU's Responses to Agenda 21(リオから5年:アジェンダ21への国連大学の対応)(英文のみ)(ニューヨークで6月に開かれた国連「地球サミット+5」に国連大学が提出した報告書) 『国連大学−国連の理想に奉仕する研究・研修機関』(和文のみ)
国連大学の研究・研修センター/プログラムも1997年に多くの出版物を出した。UNU/WIDERは出版物1,000部以上を販売し、『世界開発研究』(World Development Studies)(1-11号)がニューヨークの国連本部に販売された。また同研究所の学術出版物1,000部が主に途上国で無料配布された。またニュースレター『WIDERアングル』(WIDER Angle)(年2回発行)も14,000部が配布された。
UNU/WIDERのプロジェクト「過去10年間の非常事態の波」の2点の報告書は特に高い評価を得た。また国連人道問題局は同研究所が出したルワンダについての報告書を多数購入した。ザイールについての報告書は国連安全保障理事会の全理事国に配布された。
UNU/INTECHはその出版物を通常の配布ルートに加えて、ワークショップ、セミナー、講義シリーズなどを通じて普及に努めた。主な対象は学界、政治、行政機関、女性労働者の権利に関心を持つNGOなどである。こうした努力の結果、全米科学財団、香港技術工科大学、インドの国立ソフトウエア技術センター、香港に本拠を置くアジア女性委員会などとの関係が生まれた。
UNU/IASは特定の読者を対象にした普及活動を、特に新しい媒体を通じて実施した。UNU/IASの研究報告書(Working Paper)シリーズは、同研究所の上級研究員や博士課程研修生による研究成果を発表している。同研究所はまた、電子会議やワークショップを通じて、インターネットの読者に働きかけている。しかしUNU/IASの普及活動の中心はやはりそのホームページで、研究活動の最新の情報を提供している。UNU/IASのセミナー・シリーズ等も情報の普及に役立っている。1997年には100回以上の講演やセミナーが、これらのシリーズの一環として実施され、すべてが一般に公開された。
UNU/IISTは途上国研究機関50ヵ所に技術報告書、国際的ソフトウエア文献、フリー・ソフトウエア情報などを提供している。これらの報告書はUNU/IISTや関係協力機関によって作成されている。途上国はこれらの情報によって最新のソフトウエア技術の開発に関する情報に接することができる。
国連大学は1997年にニューヨークで次の5回の公開フォーラムを開催した。
- 「新しいグローバリズムと途上国」、5月
- 「再生可能な天然資源の持続可能な管理」、6月
- 「世界にはどんな金融会議が必要か」、10月
- 「グローバル化する環境における公共政策戦略の確立」、10月
- 「新興市場における金融・開発問題」、11月
