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国際連合大学
2000年年次報告書(HTML版)
国連諸機関との提携関係
プログラム活動の焦点を絞り込むために国連大学は多くの外部機関との提携を強めているが、なかでも国連システム全体との接点を増やし強化することに特に力を入れている。緊急を要する問題に関して国連がその政策策定に新しい思考を必要とする場合、国連大学の直接的関与を可能にするため、国連調整管理委員会 (Administrative Committee on Coordination - ACC) 会議には学長が参加するほか、各ACC小委員会には国連大学幹部職員も加わる。
「最近の国連大学の研究は単なる貧富の差が過激な紛争の種にはなり得ないことを示唆している。この研究は、特に危険な火だねは「水平的」不平等であると指摘する。つまり、異なるグループの間で権力や資源が一方に偏っていて、さらに人種、宗教、言語など他の面でも差別が存在する場合である」 コフィー・アナン国連事務総長 (2000年7月20日の紛争予防に関する安全保障理事会での発言)
また、国連大学は、国連総会、経済社会理事会、および他の国連諸機関に対しても助言や提案を行っている。国連大学が1月に東京で開催した国際会議「新千年紀の幕開け−国連とガバナンスの在り方を問う」の資料の多くが、国連ミレニアム総会での事務総長報告 (A/54/2000) の中で使われている。それ以外にも事務総長は講演や文書のなかで、国連大学の紛争予防、貧困撲滅、情報技術 (IT) 戦略などに関する研究成果に依拠している。
事務総長が1997年に発表した国連改革案では、21世紀に国連が期待通りに機能するためには、常に知識の入手、創造、利用が可能な状態であることが国連にとり不可欠の条件だと強調し、国連大学を含む国連のすべての研究機関に対して、国連が世界各地で行うすべての領域における活動に関する知識、分析、能力を要請に応じていつでも提供できる態勢を整えておくよう求めた。国連大学は、2000年6月、国連ジュネーブ事務局と共同で開催する会議に、国連傘下の研究機関ならびに研究機能を備えたすべての国連機関に参加を呼びかけた。会議の主目的は、これら国連システム内の研究機関が実施する調査・研究の成果を国連が十分に活用できるようにする方法の検討にあった。会議では、国連システムの様々な分野で進行中の研究に関する情報を交換したほか、相乗効果を上げ、プロジェクト間により関連性を持たせ、より目に見える形の成果を出す方法について意見を出し合った。研究機関間ならびに研究機関と実務機関間での相互協力をさらに強化するため、今後はこの「ジュネーブ研究・政策ダイアログ」を毎年開くことになった。
国連が世界各地で開く大型会議の実施運営ならびに事前あるいは事後作業に関しても国連大学の果たす役割が増えている。2000年度国連特別総会「女性2000年会議: 21世紀に向けた男女平等、開発および平和」に備えて、2000年6月1 - 2日の二日間にわたり女性のリーダーシップに関する研究・研修コースを開設したほか、2000年3月の世界水フォーラムでの討議を受けて、ユネスコと共同で世界水発展報告の作成に着手した。さらに、2003年に日本で開かれる第3回世界水フォーラムに関しては日本政府の協力機関として準備作業を行う。また、1998年10月にパリで開かれた世界高等教育会議の事後作業に関しても、ユネスコの主導のもとで現在もさまざまな協力活動を行っている。
ここ数年、国連大学は国連の主要課題にたいする具体的取り組みを検討する政策パネル討論をニューヨークの国連本部で開いている。2000年には「情報技術と経済成長」「女性のリーダーシップ」「エルニーニョ−異常気象の影響低減」「コソボ危機の意味するもの」をテーマに国連上級職員によるパネルを4回開いた。なかでも「情報技術と経済成長」でのUNU/WIDERの研究成果は、2000年度国連経済社会理事会での事務総長報告の随所で引用された。
UNU/WIDERが行った所得不平等と貧困解消に関する研究の成果のひとつである「世界所得格差データベース(WIID)」も他機関との協力が実を結んだ一例である。国連開発計画(UNDP)と共同で開発されたこのデータベースは、全国連機関と国連開発計画のすべての現地事務所、それに途上国の経済関係省庁ならびに研究機関に広く行き渡っている。また、99年末からUNU/WIDERとUNDPのホームページに同時に掲載されている(2001年1月現在、UNU/WIDERのWIIDホームページへのアクセス回数は2,300回)。所得格差データベースは、東京で開かれた世界銀行・国連大学共催のパブリック・フォーラム「21世紀における貧困緩和への挑戦」、ワシントンで開かれた世界銀行主催の「人間開発週間」、主要途上国24カ国の首脳による途上国リマ・サミット「G24」などでも紹介されたほか、世界銀行の「貧困ネット・イニシアチブ」でも特集されている。
国連大学は、国連諸機関が関わる環境関連活動に幅広く参加している。国連持続可能開発局がオタワで2000年10月に開いた「意志決定のための情報に関する専門家会議」(アジェンダ21第40章)への参加もその一つである。この会議の目的は国連総会での事務総長報告とリオ・プラス10へ向けての下準備であった。国連機関が実施する国際的環境モニタリング活動の調整と相乗効果を図るために国連環境計画(UNEP)が組織する「アースウォッチ」(地球監視)にも国連大学はこの数年参加している。アースウォッチに参加する諸機関の間では、特に東アジア地域を対象とした国連大学の環境監視プログラムが地域協力の成功例として注目されている。
国連大学はさまざまなプロジェクト活動を展開するなかで国連システム内の他の機関と協力しており、その数は38に上る。国連大学は国連諸機関との協力関係強化を大学運営の柱のひとつに位置づけている。2000年度には特に国連本部事務局各部門およびユネスコとの関係強化に努めた。ユネスコとは、世界高等教育会議での決定事項の共同実施、UNITWIN・ユネスコ講座プログラム、世界科学会議、社会変革管理プログラム(MOST)、国際水文学プログラムのほか、教育ソフトウエアとコンピューター科学のカリキュラム開発に関する能力育成などで協力している。
国連大学が主催する各種会議の参加者は研究者と専門家が中心であるが、2000年度には他の国連機関やブレトンウッズ諸機関などからの関係者も多数参加した。UNU/WIDERを例にとると、1999年から2000年までの2年間に同研究所の研究活動に参加した国連機関関係者は、アジア開発銀行、世界銀行、国際通貨基金、国連開発計画、国連事務局、ユニセフ、ラテンアメリカ・カリブ経済委員会、国連食糧農業機関、国際労働機関、アフリカ経済委員会などから約30名に上る。
国連システム内の協力機関
- アジア開発銀行(ADB)
- アフリカ開発銀行(AfDB)
- アフリカ経済委員会(ECA)
- 国際通貨基金(IMF)
- 国際農業開発銀行(IFAD)
- 国際労働機関(ILO)
- 国連開発計画(UNDP)
- 国連環境計画(UNEP)
- 国連教育科学文化機関(UNESCO)
- 国連訓練調査研修所(UNITAR)
- 国連軍縮研究所(UNIDIR)
- 国連工業開発機関(UNIDO)
- 国連児童基金(UNICEF)
- 国連社会開発研究所(UNRISD)
- 国連食糧農業機関(FAO)
- 国連事務局:
- 経済社会局(DESA)
- 人道問題調整部(OCHA)
- 政治局(DPA)
- 平和維持活動局(DPKO)
- 国連生物の多様性に関する条約(UNCBD)
- 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)
- 国連西アジア経済社会委員会(UNESCWA)
- 国連婦人開発基金(UNIFEM)
- 国連貿易開発会議(UNCTAD)
- 深刻な干ばつおよび(または)砂漠化を経験している国、特にアフリカ諸国の砂漠化防止に関する国連条約
- 持続可能開発に関する機関間委員会(IACSD)
- 世界気象機関(WMO)
- 世界銀行
- 世界保健機関(WHO)
- 世界貿易機関(WTO)
- 地球環境ファシリティー(GEF)
- ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)
2000年年次報告書INDEX