The United Nations University

国際連合大学
2000年年次報告書(HTML版)


学長からのメッセージ

 国連では2000年は文字通り「前向き」の年でした。新千年紀のビジョンを示すコフィー・アナン事務総長のミレニアム報告書「われら人民」が発表され、ミレニアム・サミットでは世界のほぼすべての国のトップが集い、世界が抱える緊急の課題解決に向けて誓いを新たにしました。ミレニアム報告書とミレニアム・サミットは、国連大学がこれら課題に取り組むうえでの指針を示すとともに、大半の国が共闘への固い意欲を秘めることを裏書きするものでした。国連大学はその団結に寄与すべく最大の努力を払う所存です。

 2000年に、国連大学は活動開始25周年を迎えました。東京の本部では、10月23日にそれを記念するシンポジウムが開かれました。25年の成長過程を振りかえり、その間に学んだ多くの教訓を今後に活かすための特別の目的をもつ会議で、歴代学長のほか、国連大学の創設に尽力され、その後も大学を真にグローバルな学術共同体に育て上げるために貢献された方々が多数出席されました。とりわけ、日本政府に対して国連大学の招致を強く働き掛けたエリザベス・ローズ夫人が来賓のひとりとして出席されたことは大きな喜びでした。ローズ夫人の貢献は、市民社会が四半世紀以上前にすでに大きな役割を果たしえたことを如実に物語るものです。国連大学設立を最初に提唱した国連事務総長、故ウ・タント氏の孫で、現在、国連に勤務するタン・ミン氏も亡き祖父の代わりとして出席されました。また、シンポジウムで行われた第一回「永井道雄記念講演会」では、元国連大学理事会議長で元国際大学協会会長のジャスタン・トレンス博士が故永井道雄文部大臣の業績を思い出とともに語られました。「永井道雄記念講演会」は、国連大学の日本誘致に多大な貢献をされた永井氏を記念する講演でこれから毎年開かれる予定です。

 国連総会が「人類の存続、発展、福祉に関わる地球規模の緊急問題解決に資する」と定めた国連大学の使命の重要性は25年を経たいまもまったく変わっていません。むしろ、知識主導の色が濃い現在のグローバルエコノミーにあっては、国連と世界中の人々の新たなニーズを充足し、その希望を満たすためにより大きく貢献することが、国連大学に一層、強く求められます。平和維持、開発の促進、疾病対策、地球環境の保全など、国連のすべての活動で知識の重要性が以前に増して高まる今、国連大学に求められているのは、世界そして国連自体に変容を迫る巨大な力の動きをより正確に理解し、評価し、予見することになお一層、寄与することにあります。道のりははるかですが、その目標に向かってたゆまず歩み続けなければなりません。

 そのため国連大学は今年、「国連大学戦略計画2000」を採択しました。「人間の安全保障と発展のための知識」を戦略計画2000の全体目標に掲げ、まず、研究と能力育成の機関としての機能をさらに効率化する一連の措置を講じることからはじめています。学術活動に加えて、特に今年は国連大学を支援する国や機関との協力関係を一層緊密にすることにも力を注ぎました。国連大学は、本部を置く日本のほかに、直属の研究・研修センターやプログラムの所在国の政府、国民、産業界と密接な協力関係をもっています。それら各方面からの支援なくしては国連大学の存続はありえません。同時に、関心領域が国連大学と重なる研究グループ、国際機関、企業などとの連携を強化することも今年度優先項目のひとつです。

 本年次報告では今年度に国連大学が行った主な活動を紹介します。戦略計画2000の段階的実施状況については今後の年次報告でも逐次、報告します。国連大学が人間の安全保障と発展にかかわる政策上の重要な問題解決のためにいかに研究にはげみ能力育成に努めているかをお分かりいただけると幸いです。

 国連の目指す目標達成に向けた国連大学の活動にご協力くださることを切に願う次第です。

学長 ハンス・ファン・ヒンケル

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