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国際連合大学
2000年年次報告書(HTML版)
知識の普及
活動成果をより広く普及させるため国連大学は、世界の学術社会に限らず、各国の政策立案に携わる人びとや一般市民にもその研究成果としての新しい知識や情報を広めるべく努力している。特に、途上各国が必要とする最新の科学的知識や実践に役立つ技術情報などの普及に重点を置いている。主要媒体は、専門書、学術誌、政策提言パンフレットのほか報道記事などであるが、最近はCD-ROM、インターネット、ビデオなど新しい媒体も積極的に活用している。
国連大学出版部国連大学出版部(UNU Press)は2000年度に出版点数を大幅に増やし、いずれも充実した内容であったことから、学術社会と出版界で注目され認知度も高まりつつある。13点が年度内に出版されたほか、外部の出版社からも国連大学の研究プロジェクトに関する図書9点が出版された(付録4参照)。
出版部から出た新刊のうち8点は国連大学の研究プロジェクトの成果で、5点は国連大学の研究に関連する領域を扱う外部研究者の論文原稿を編集したものである。この出版実績は、過去1年間に国連大学出版部に提出された原稿点数が過去の年度に較べてかなり増えたことと併せて、それらの質も格段に高いものであったことを反映している。原稿の出版依頼件数が増える傾向は歓迎すべきであるが、予算上の制約で原稿のほとんどは残念ながら返却を余儀なくされている。
新刊、在庫を含めて2000年度内に販売された書籍は合計14,000部で、出版部の売上収入は予算に計上した210,000ドルに達した。新刊書籍の平均印刷部数は1,500部である。出版部では書籍の価格を極力引き下げる努力をしており、おおむね大手学術出版社価格よりも50パーセント以上、主要大学出版局よりも30パーセント以上低く設定している。出版までのプロセスを効率化することにも努めており、第三者監修に要する時間を含めて原稿入手から出版までに要する期間はほとんどの場合約9カ月で、他の学術出版社よりもかなり短縮されている。ただし、今年度に出版したTrade, Environment and the Millenniumのように編集作業を4カ月以内に短縮することも可能である。
国連大学出版物の途上国市場での流通部数拡大のため出版部では途上国の出版社による低価格リプリント版の発行を奨励している。2000年度に途上国の出版社が国連大学との共同出版として出版、もしくは年度末時点で編集作業中のリプリント版は以下のとおり(地域名は販売予定地域)。
- Model, Myth or Miracle(模範、神話、奇跡)−東南アジア諸国
- Cities and the Environment(都市と環境)−東南アジア諸国
- Global Financial Turmoil and Reform(世界的金融波乱と改革)−東南アジア諸国
- Trade, Environment and the Millennium(貿易、環境、新千年紀)−東南アジア諸国
- Conducting Environmental Impact Assessment for Developing Countries(途上国向け環境アセスメントの実施)−東南アジア諸国
- Cities and Environment(都市と環境)−インドと南アジア諸国
- International Security Management and the United Nations(国際安全保障の管理と国連)−インドと南アジア諸国
- Global Financial Turmoil and Reform(国際金融波乱と改革)−インドと南アジア諸国
各国における国連大学出版物の流通量を増やすとともに、大学の研究成果をより広く普及するため、出版物の各国語への翻訳と各国の国内出版社との共同出版も継続して行われた。2000年度に出版された国連大学出版物の翻訳版は次のとおり。
国連大学は知識の普及を責務の一つとしており、出版物の無料配布も出版部の重要業務の一つである。国連大学直属の研究・研修センター/プログラムへの配布に加えて、主として途上国の図書館その他の機関に国連大学出版物を継続的に寄贈している。2000年には寄託図書館の地理的分布が一層平均化するよう、「国連大学出版部寄託図書館選定基準」の見直しを行い、寄託図書館候補リストを作り直した。同時に、途上国の寄託図書館ネットワーク拡大にともなう経費負担を一部軽減するため、名目的な年会費を支払う協力図書館(途上国のみ)の候補リストを新たに作成した。
- 『産業再建−産業と自然環境の調和をめざして』(Eco-restructuring: Implications for Sustainable Developmentの日本語版)−創芸出版
- Cities and Environment(日本語版出版予定。タイトル未定)−アサヒ・エコブックス、清水弘文堂書房
- Water for Urban Areas(日本語版出版予定。タイトル未定)−清水弘文堂書房
- Changing Nature of Democracy(中国語版出版予定。タイトル未定)−Wangsheng Books
- 『公平地対待未来人類』(In Fairness to Future Generationsの中国語版)−法律出版社(北京)
このほか、アフリカを中心とする途上国での配布用に書籍約500点を英国に本部を置く書籍寄贈団体「ブック・エイド・インターナショナル」に寄贈した。また、アジア財団を通じて4,000点を無料配布したほか、ビッグブラザー財団、インターナショナル・ブックプロジェクト、ソロス財団、ブックス・フォア・アフリカ、U.S.ブック・エクスチェンジなどの支援団体を通じて10,000点を配布する取り決めが結ばれた。
一方、コスト削減と流通効率化を兼ねて、国連大学出版物を電子書籍化し、無料で提供している。出版部制作のCD-ROM「Collection of Critical Global Issues」(世界的規模の危機に関する研究文献)は今年度も各地の研究者と研究機関に数百部送付された。さらに、FAOとベルギー人間開発ライブラリーからも国連大学CD-ROMを途上国の研究者、研究機関に提供した。
国連大学ホームページ http://www.unu.edu/
ITによる知識の普及ITによる知識の普及に関してはいくつかの新しい構想が実現した。
ベルギー・アントワープの人間開発ライブラリーの協力により、国連大学ウェブサイトの「出版物」セクションに全文掲載される国連大学出版物が増えた。現在、100点以上の学術書に加えて、2000年までに発行されたUNU Food and Nutrition Bulletin(食糧・栄養報告)の全号が無料でダウンロードできる。
また、CD-ROM「Collection of Critical Global Issues」第3版が制作された。この最新版には、環境、開発、食糧・栄養関係の出版物240点が収められている。
出版部では、ベルギー人間開発ライブラリーの協力を得てCD-ROMプロジェクト「Food and Nutrition Library」を拡大する作業を引き続き行っている。世界食糧計画(WFP)、FAO、GTZ-GATE、平和部隊など、多くの国際機関や非政府組織との共同プロジェクトで、すでに出版物260点のすべてが全文掲載されている。このCD-ROMは途上国では無料で配布される。
電子書籍(e-Book)化した各種資料や学術書、技術マニュアルなどを扱う米国最大のオンライン・ディストリビューター「ネットライブラリー」(netLibrary)との協定によって、国連大学出版物の全文あるいはその一部が2000年からインターネット上で電子的に購入できるようになり、国連大学の研究成果の普及に新しい窓口が一つ増えた。
広報活動国連大学の活動を広報する媒体としてはこのほかに、パンフレット、ニュースレター、出版物カタログ、ホームページ、一般公開の各種会議、その他の広報資料がある。
CNNで国連大学の広報−米国のテレビ局CNNの協力により、国連大学とその国際的な研究・研修センター/プログラムのネットワークを紹介する公共スポットビデオが2000年8月から6カ月間、世界各地で放映された。60秒、30秒、15秒の3種類があり、一日6回から9回放映された。ビデオの最後に国連大学のウェブアドレスを出しており、視聴者に国連大学ウェブサイトへのアクセスを促す非常に有効な方法であった。
世界環境デー−6月5日の世界環境デーを記念して、国連大学は地球環境パートナーシッププラザと共同で6月3日から3日間多彩なイベントを展開した。国連大学と日本にあるその他の国連機関による地球環境問題への取り組みを紹介する国連大学オープンハウスや環境問題関連の一連のワークショップ、NGOフェアなどが開催され、のべ10,000人を越える参加者があった。
公開講演等国連大学本部と直属の研究研修機関において2000年度中に開かれた主なシンポジウムおよび公開講演は下記のとおり。
- 公開講演「ガイア共同体」ノーマン・マイヤーズ・オックスフォード大学教授、1月17日、東京
- 国連大学国際会議「新千年紀の幕開け−国連とガバナンスの在り方を問う」
「新千年紀へ向かって−明日の国連」ルイーズ・フレシェット国連副事務総長
「国連強化のための10項目提案」明石康・日本予防外交センター会長・元国連人権問題担当事務次長
「新世紀の環境問題」ノーマン・マイヤーズ英オックスフォード大学教授、1月19−21日、東京。
- 国連大学・世界銀行・パブリック・フォーラム「21世紀における貧困緩和への挑戦」マッツ・カールソン世銀副総裁(対外関係・国連担当)、2月25日、東京。
- 講演会「バルカンの現情勢: 危機の結果としての安定協定−コソボ後の教訓」エドゥアルト・クカン・スロバキア共和国外相、3月17日、東京。
- アフリカ・デー記念国際会議「アフリカからのメッセージ−平和・進歩および繁栄に向けてのアフリカの役割」アマドウ・トゥマニ・トゥーレ前マリ共和国大統領、小和田恒・国際問題研究所理事長、波多野敬男フォーリン・プレスセンター理事長、K・Y・アモアコ国連アフリカ経済委員会(ECA)事務局長、藤田公郎・国際協力事業団総裁、佐伯嘉彦・日本貿易振興会副理事長、5月19日、東京。
- 国連大学創立25周年記念国際シンポジウム「25周年を迎える国連大学−日本と世界のために」−第1回永井道雄記念講演会「国連大学をなぜ日本に−永井道雄氏の遠大な構想」ジャスタン・トレンス元ジュネーブ大学学長、元国連大学理事会議長、10月23日、東京。
- 「グローバル・エトス」国際会議 ハンス・クング独チュービンゲン大学エキュメニカル研究センター名誉所長、トーマス・アクスワージー米ハーバード大学教授、ヤース・キム・ユネスコ哲学倫理局ユニバーサルバリュー・プロジェクト前担当官、10月24日、東京。
- 講演「グローバリゼーションと適正ガバナンス」ジャグディシュ・バグワティ米コロンビア大学教授、米外交評議会、11月1日、ヘルシンキ。
- 第3回OECD社会科学ワークショップ「社会科学とイノベーション」基調講演ナサン・ローゼンバーグ米スタンフォード大学教授ほか、11月29日−12月1日、東京。
- 「第2回グローバル・ディベロップメント年次会合」リディア・マクブ・スワジランド大学副学長、ルク・ドラリボ・プラン・クロー文化開発財団、ニック・スターン世銀首席エコノミスト、アシュトシュ・バーシュニー仏ノートルダム大学教授、12月11−13日、東京。
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