1. 西暦2002年を国際山岳年と定め、持続可能な山岳開発の必要性を世界に訴えた、国際連合総会決議A/RES/53/24に対し、感謝の意を表し、
2. アジェンダ21の第13章に明記されているように、山岳は独特な自然や人的資源を内包した脆弱な生態系を構成しているということを認識し、
3. 鉱山資源開発、土壌浸食、観光開発などの人的圧力は山岳の環境、殊に山岳地域に固有で希少な野生動植物に悪影響を与え続け、また鉱山資源を枯渇させていることに留意し、
4. さらに気候変動は、人間の消費や農業に必要な淡水資源の供給量及び水質に影響し、山岳地元住民が往々にして不利な立場に立たされるような異なる利害関係者間の競争を激化させ、山岳住民を潜在的により脆弱たらしめるなど、高地及び低地の環境・社会に深刻な影響を与えうることを懸念し、
5. 山岳地域に居住する人々のうち約5億人(世界の山岳住民の8割)は貧困線以下のレベルで生活していることにも注目し、
6. 山岳の環境管理には、自然環境を保全する一方で、山岳住民の供給するサービスに対する補償を含む持続的な収入源を確保していくなど、全体的視野をもったアプローチが必要であることを認識し、
7. 山岳の自然・社会システムに関する科学的研究、(適切な)自然資源の管理、山岳環境のモニタリングは環境保全と開発の目的に即した持続可能な開発を進める上で必要不可欠であることを確認し、
8. (その点で)山岳住民、殊に女性は重要な利害関係者であり、往々にして山岳環境の持続可能な開発を確実にし、山岳資源の利用と管理に従事する真の山岳管理者であることを意識し、
9. また山岳住民は、グローバリゼーションに向かう世界の中で維持され且つ発展すべき重要な文化的多様性を守っているということも意識し、;
10. 学者・研究者と、マスメディアから主に情報を得る一般市民の間では、山岳に関する知識や認識において大きな溝があることを認め、
11. また山岳とその影響下にある地域には、よく一般に考えられているように貧しい人々だけが生活のために依存しているのではなく、実は世界の都市人口のかなり大きな割合が頼っており、後者の資源消費は山岳資源の利用と管理に多大な影響を及ぼしているということを意識し、
12. そして殊に開発途上国の、人間の居住地と自然環境を含む山岳地域は、その特殊な地理的特異性のために、武力闘争など深刻かつ悪化の一途を辿っている物理的暴力、破壊を非常に被りやすいということを認識し、
ここに以下のことを宣言する。
13. 山岳住民の置かれた現状をよりよく把握し、不足している情報、ニーズそして開発の制約要因を特定し、彼らがより持続可能な開発に向かってゆく手助けとなるように、国際連合大学は山岳住民との活動をこれからも継続していく。
14. 山岳の環境保全や持続的資源利用の分野の研究とモニタリングは、あらゆる努力をもって支援されるべきである。
15. 山岳住民の疎外を食い止めるために、山岳に住むあらゆるレベル・階層の人々及び伝統的に山岳資源に依存して生活してきた少数民族をターゲットとした能力育成や教育活動が強化されなければならない。
16. 文化的多様性は、山岳地域の社会的、経済的疲弊及び環境劣化に対抗する上で強力な武器となりうるものであり、維持され且つ発展させられるべきものである。
17. (生物圏保護区の場合のように)山岳地域でも環境保全と持続可能な開発のための包括的・学際的な管理手法が適用されるべきである。
18. マスメディアと連携し、また研究者と開発プロジェクト実施者との間で、より協調した活動を推進することにより、適切かつ正確な情報を一般市民に提供していくよう、より一層の努力がなされるべきである。
19. 高地・低地間の相互作用に関するさらなる研究及びモニタリングを通じて、山岳問題の都市的側面にも、より注意を向けるべきである。
20. 自立した形での持続可能な開発を推進するために、山岳地域の貧しい地元住民、殊に女性の社会的権限強化が支援されるべきである。
21. 学者・研究者及び政策決定者たちは、武力闘争やその結果生じる山岳生態系や人々の生活への被害の問題に、より真剣に取り組むべきである。
22. そして、例えばホットスポットを特定し、持続可能な山岳開発の上での様々な問題や状況に応用できるような成功例を作る、或いは見出していくなど、山岳問題に対する新しいアプローチの可能性を探っていくべきである。
ゆえに、我々は、山岳研究者、山岳住民、政策・意思決定者、開発プロジェクト実施者そして一般市民の間の連携と協調した活動を目指して、国際連合大学(UNU)、国連教育科学文化機関(UNESCO)、国連食糧農業機関(FAO)、国連環境計画(UNEP)、国連開発計画(UNDP)及びその他関連した国際機関、政府機関そして非政府機関に対し、山岳に関する研究、モニタリング、能力育成、山岳生態系の保全、そして文化的多様性の維持を推進していくことを、ここに勧告する。