国際連合大学憲章

第1条

目的および機構

  1. 国際連合大学(以下、「国連大学」という)は、国際連合憲章の目的および原則を推進するための研究、大学院教育研修、知識の普及に携わる学者の国際コミュニティである。その目的を達成するため、国連大学は、国際連合および国際連合教育科学文化機関(以下、「ユネスコ」という)の共同支援のもとに、プログラムの企画や調整を行う中枢機構、ならびに先進諸国および開発途上諸国に設置される研究と大学院教育研修のためのセンターおよびプログラムのネットワークを通じて、その機能を果たす。

  2. 国連大学は、国際連合とその専門機関が関心を寄せる人類の存続、開発、福祉に関わる緊急性の高い、地球規模のの諸問題を、社会科学、人文科学ならびに自然科学(基礎および応用)の始点から研究することに努める。

  3. 国連大学の研究所における諸機関の研究プログラムは、特に次の主題を含むものとする。文化、言語および社会体制を異にする人びとの共存。国家間の友好関係ならびに平和および安全の維持。人権。経済的、社会的な変化および開発。環境保全および適切な資源利用。基礎科学研究ならびに人類の開発に則した科学および技術の成果の応用。生活の質の向上にかかわる人類の普遍的価値。

  4. 国連大学は、世界に広がる教育研究のコミュニティにおける活発な相互交流を促進するため、自らの活動から得た知識を国際連合および専門機関、学者ならびに社会に普及する。

  5. 国連大学とその組織で働くすべての者は、国際連合憲章およびユネスコ憲章に定められた諸条項の精神、ならびに現行国際法の基本原則に則って行動する。

  6. 国連大学の研究所・研修センター(プログラム)は、本憲章が定めるセンターおよびプログラムの目的の範囲内で、すべての地域、特に開発途上国において学問研究分野における重要課題に熱心に取り組んでいる学術・科学コミュニティの継続的発展に関わることを、主要な目的とする。国連大学は、開発途上国における学術コミュニティに属する人々の知的孤立を緩和し、彼らが先進国へ移動することを防ぐ努力をする。

  7. 国連大学は、大学院教育研修によって、研究者、とくに若手の学者が研究に参加し、その知識の拡充、応用、普及研究に寄与するための能力の向上をはかることを支援する。国連大学はまた、国内外の技術支援プログラムに従事しようとする人々を対象に、とくに今後対処が求められる問題への学際的アプローチに関する研修を実施することができる。

第2条

学問の自由と自治権

  1. 国連大学は国際連合の枠組みにおいて自治権を享受する。国連大学はまた、その目的の達成に必要な学問の自由、とくに研究および研修の主題と方法の選択の自由、その任務を共有する人々および機関の選定の自由、ならびに表現の自由をも享受する。国連大学はその機能遂行のために与えられた資金の用途を自由に決定する。

  2. 国連大学学長は、国連大学理事会の承認を受け、国連大学の活動が行われる国との間に、学問の自由と自治権を確保するために必要な協定を、国際連合を代表して締結する。

第3条

組織

  1. 国連大学は以下の機関によって構成される。

    1. 理事会  国連大学の運営委員会として機能する。
    2. 学長  理事会に対し、国連大学の統括、運営、企画、および調整に関する責任を負う。
    3. 国連大学本部  国連大学の全般のプログラムについての企画、調整、支援、運営および資金調達に関して、学長に対して責任を負う幹部職員と共に、学長を補佐する。、また本部は、効果的かつ迅速な行動が取れるよう組織される。
    4. 研究所・研修センター(プログラム)。


  2. 国連大学理事会は、高度な研究および大学院教育研修を目的とし、自ら定める条件に従い、学問的な卓越性をもとに、特に開発途上国に所在する機関やセンター、またはその一部を、国連大学の提携機関に指定することができる。

  3. 国連大学はその目的を達成するため、世界の様々な地域の適切な機関および個人と、契約またはその他の取決めによって、国際的な共同研究を実施することができる。

第4条

国連大学理事会

  1. 世界の学術、科学、教育、文化における主要な動向に顧慮し、様々な研究分野を考慮に入れ、若手の学者の適切数の参加を得て、広範な地域の出身者からなる国連大学理事会(以下、「理事会」という)を設置する。理事会は個人の資格で任に就く24名の理事から構成される。国際連合事務総長およびユネスコ事務局長は、国際連合訓練調査研修所(UNITAR)(以下、「UNITAR」という)をはじめとする関係専門機関およびプログラムと協議し、適切な代表機関の意見も考慮に入れ、共同で理事を任命する。学長は理事会の構成員となる。

  2. 国際連合事務総長、ユネスコ事務局長、およびUNITAR事務局長は、職権上の理事となる。他の国際連合機関および専門機関の代表者は必要に応じて招聘される。理事会は関連のある非政府機関および学術団体をオブザーバーとして招聘することができる。

  3. 任期は6年とする。ただし上記第1項に従い、最初に任命された構成員のうち12名の任期は3年で終了し、残りの12名の任期は6年間で終了する。任命による理事は6年以上継続してその任に就くことはできない。退任する理事の後任については理事会の協議を経るものとする。

  4. 理事会は以下の任務を行う

    1. 国連大学の活動および運営をつかさどる原則および方針を策定する。
    2. 国連大学憲章の適用に必要な諸規則を採択する。
    3. 国連大学全体を構成する研究所・研修センター(プログラム)の、先進諸国または開発途上諸国における新設あるいは併設を決定する。新設する場合は自らの権限で、併設する場合は合意に基づいて、その運営基準を定める。
    4. 事業プログラムの審議と承認を行い、学長が提出した提案をもとに国連大学の予算を採択する。
    5. 国連大学の活動およびその事業計画の実施に関する学長報告を審議する。
    6. 本憲章の枠内で指令を出し、対策を講じる。
    7. 国連大学が効果的に機能するために必要なまたは望ましいと思われる勧告を行う。
    8. 国連大学の事業について、国際連合事務総長およびユネスコ事務局長を通じて、国際連合総会、経済社会理事会、ユネスコ理事会にそれぞれ年次報告を行う。
    9. 必要と思われる補助機関を新設する。


  5. 理事会は少なくとも1年に1回、定例会議にて会合し、学長がこれを召集する。理事会は議長およびその他の役員を選出し、必要に応じて特別会議を開催するための手続きを含めた、手続き規則を採択する。

  6. 理事会は、今後の効率的な運営、その継続性、および国際連合の枠組みにおいて国連大学の自治性確保を目的とした国連大学の資金調達方法を審議する。理事会はまた、機関および個人が国連大学の事業に携わる上での様々な取決め、ならびに最高の学問的水準を確実に維持するために、かかる機関および個人に求められる基準について審議する。

  7. 理事会は研究所・研修センター(プログラム)、特に開発途上国の研究所・研修センター(プログラム)が、研究および研修に必要な最高水準の研究職員、設備、労働条件を備えることができるように、充分な財源を供与する。

第5条

国連大学学長

  1. 国連大学の学長は以下の手続きに従い、国際連合事務総長によって任命される。理事会は議長および2名の理事を指名委員会の委員に指名し、さらに国際連合事務総長とユネスコ事務局長がそれぞれ1名ずつの指名委員を任命する。指名委員会は3名以上5名以下の候補者の氏名をアルファベット順に並べた名簿を作成し、理事会の審議に付す。理事会は提案された候補者を承認することができ、また指名委員会に差し戻すこともできる。理事会が候補者を承認した場合は、その名簿を国際連合事務総長とユネスコ事務局長へ送付する。国際連合事務総長は、ユネスコ事務局長と協議を行い、その同意を得て、候補者のうち1名を学長に任命する。

  2. 学長は通常一期5年を任期とするが、終了後二期目としてさらに5年再任される資格を有する。学長の服務条件は理事会が国際連合事務総長との協議の上決定する。

  3. 学長は国連大学の学術および行政の最高責任者であり、理事会が作成した一般方針および基準に従って、国連大学の統括、組織、管理、プログラムの全責任を負う。学長は特に以下の任務を行う。

    1. 大学の事業計画および予算案を理事会に提出し、その審議と承認を求める。
    2. 研究および研修プログラムの実施に関連した活動を統括し、理事会が承認した予算に定められた支出を許可する。
    3. 第8条第6項および第7項に基づき、その人物の最高水準の知的・道徳的資質を確認した上で、理事会が承認した手続きに従って国連大学の人事権を行使する。
    4. 国連大学の職員を統括する。
    5. 必要に応じて諮問機関を設置する。この中には、関連のある国際連合の機関や専門機関、ならびに国連大学の活動に特に関心のある公共および民間団体から適切な代表者を参加させるものとする。
    6. 国連大学の活動に関係のある業務の授受のために、政府ならびに国内外の公共および民間団体と取決めを結ぶ。
    7. 理事会議長と協議し、本憲章第9条の規定に従って、国連大学の活動に関連したあらゆる目的のために、各国政府、国内外の機関、財団、その他の政府以外の財源から与えられる任意拠出金および寄贈を、国連大学を代表して受領する。
    8. 国連大学の研究および研修プログラムと国際連合およびその専門機関の活動との調整をはかり、また、世界の研究者コミュニティの研究プログラムとも可能な限り調整をはかる。
    9. 手続き規則に従い、国連大学の活動およびその事業計画の実施について、理事会に報告を行う。
    10. 理事会が必要とする業務を行う。

第6条

国連大学本部

国連大学本部は、学長による以下の任務の遂行を補佐する

  1. 国連大学の究極の目的を達成し、最高の学問的水準と研究アプローチの普遍性を確保するため、国連大学の研究課題と研修領域を企画立案し、研究および研修活動のための契約を締結する。

  2. 国連大学のプログラム全体を管理し、承認された予算に則って経費を供給する。

  3. 必要に応じて会議やワークショップの手法を活用し、世界の、特に開発途上国の学術コミュニティ内での研究者の交流、および科学技術に関する意見や情報の交換を促進する。

  4. 国際連合の専門機関および既存の情報システムと協力し、国連大学の活動に関連した課題に関わる専門知識の情報寄託の場としての役割を果たす。

  5. 国連大学が現在研究中の、または今後研究する分野の専門家として資質のある世界各地の研究者の名簿を常に最新に保ち、研究所・研修センター(プログラム)が有能な研究者を見出せるよう、必要に応じて支援を行う。

  6. 国連大学の活動と、UNITARを含む国際連合の諸機関およびプログラム、ならびに国際連合の専門機関の活動との間で、常に緊密な調整をはかる。

  7. その他、学長が定める職務を遂行する。

第7条

研究所・研修センター(プログラム)

  1. 国連大学は、様々な国に設置された、または設置される複数の予定の研究所・研修センター(プログラム)から構成される。その新設または国連大学との併設は、上記第4条第4項(c)に従って理事会が決定する。

  2. 各研究所・研修センター(プログラム)はそれぞれ1名の所長の権限下に置かれる。所長は、特に研究・研修プログラム間の調整をはかるため、学長と協力する。

  3. 研究所・研修センター(プログラム)の所長会議は学長が定期的に召集し、現在行われている研究プログラムに検討と評価を加え、現行のプログラムの改善と国連大学システムのための新プログラムを明示し計画を作成することについて、学長に助言し、補佐する。

第8条

国連大学職員

  1. 国連大学の教職員は、本憲章の目的を達成することを前提として選考される。基本的な選考基準は最高水準の効率性、能力、および誠実さであり、出身地域、社会制度、文化的伝統、年齢、および性別が適切に代表されるように十分顧慮する。

  2. 国連大学職員は以下のような構成となる。

    1. 学術職員
    2. 事務職員
    3. 研修員
    各区分ごとの任務は、上記述第4条第4項(b)の約定に基づき、理事会によって採択された規則の規定に従って、割り当てられるものとする。

  3. 学術職員体制は以下のような構成となる。

    1. 学長。
    2. 経営担当職員、すなわち学長を補佐する上級職員および研究所・研修センター(プログラム)の責任者。
    3. 若手の学者を含めた研究員、客員教授、客員フェロー、コンサルタント。
    上記第2条の規定によって、すべての学術職員はその研究および研修事業において、学問の自由が保障されている。

  4. 学長および――ただし上記第4条第4項(b)の約定に基づき、理事会が定めた規則に規定される場合を除き――第3項(b)に掲出の学術職員、および理事会が国連大学予算に計上した事務職員には、国際連合人事規則の規定が適用されるが、学長および国際連合事務総長が同意した特別規則または任命条件についての取決めがある場合はそれに従う。かかる職員は、国際連合憲章第105条、および国際連合職員の身分を規定するその他の国際協定および国連決議の意義の範囲における国際連合の職員であり、国際連合憲章第100条の適用を受ける。

  5. 上記第4項に掲出の職員はその職務の執行にあたり、学長に対してのみ責任を負う。

  6. 上記第3項(b)に掲出の学術職員、および理事会が定めた国連大学予算で計上された経営職員は、国際連合事務総長に代わって学長が任命する。ただし、上記第4条第4項(c)に定めるようにこれと異なる合意が結ばれる場合はこの限りではない。

  7. 上記第4項および第6項に掲出の職員以外の学術および事務職員、ならびに研修員のうち、国連大学本部に勤務する者は学長によって任命され、それ以外の者は当該研究所・研修センター(プログラム)設立に係る理事会で決定された役務規定、あるいは国連大学に併設する特定センターまたはプログラム契約の役務規定に従って任命される。かかる職員は上記第2条によって締結される協定に定められた特権または免責を享受するが、通常は国際連合の国際公務員とはならない。

第9条

財政および予算

  1. 国連大学の資本費用および経常費用は、国連大学のための任意拠出金、またはそれから派生する収入によってまかなわれる。任意拠出金には以下のようなものがある。

    1. 各国政府から直接、または国際連合、専門機関、国際原子力機関を通じて寄せられる拠出金。
    2. 財団、大学、および個人を含む政府以外の財源から寄せられる拠出金。


  2. 学長は、国際連合、専門機関、国際原子力機関、その他の政府間機関から、国連大学のプロジェクト、特にフェローシップのための財政援助を受けることができる。

  3. 国連大学に対して直接的または間接的に、即時あるいは最終的に負債をもたらす恐れのある拠出金、あるいは国連大学のプログラムにまだ含まれていない新たな活動に関わる拠出金を受け取る場合は、理事会の承認を得なければならない。

  4. 国連大学の資金は、国際連合財政規程に従い、国際連合事務総長が設置した特別口座に保管される。

  5. 国連大学の資金は国連大学の諸目的のためにのみ維持・運用される。国際連合事務総長は、国連大学に代わって、その資金の保管管理をはじめ財務および会計上必要なすべての機能を遂行し、また国連大学特別口座の収支状況を示す歳費会計を作成して、その内容が正しいことを保証する。

  6. 国連大学の財務運営には国際連合財政規程および財政規則が適用されるが、学長が国際連合総長の合意を得て、理事会および国際連合行政財政問題諮問委員会と協議した後、特別な規則や手続きを定めた場合はそれに従う。

  7. 学長は、国際連合の諸規程、規則、方針、手続きに合致する方法で国連大学の予算案を作成する。予算案は国際連合行政財政問題諮問委員会の意見および勧告を添えて理事会に提出し、承認を受ける。理事会に承認された予算は、理事会の報告書を添えて国際連合総会に送付する。

  8. 国連大学によって、国連大学のために運用された資金は、国際連合財政規程の規定に従い、国際連合会計検査委員会の会計監査を受ける。

  9. 国際連合事務総長および学長の協議で定められた条件に基づき、国連大学は国際連合の一般事務、人事、および財務の各サービスを利用することができるが、国際連合の通常予算に追加費用を生じさせないものとする。

第10条

所在地

  1. 国連大学は、研究所・研修センター(プログラム)から成る世界的組織であるため、研究所・研修センター(プログラム)の位置するところをその所在地とする。

  2. 国連大学は首都圏内に本部施設を設け、そこに国連大学当局と国連大学本部を置く。

第11条

地位および権限

  1. 国連大学は上記第2条第1項に定められた通り、国際連合総会の自治機関であり、国際連合憲章第104条および第105条、その他の国際協定、および国際連合の地位、特権、免責に関する国際連合決議で規定される地位、特権、免責を享受する。

  2. 国連大学は不動産および動産の取得および処分を行うことができ、職務の遂行に必要なその他の法的措置を取ることができる。

  3. 国連大学はその活動を実施するため、各国政府、組織、機関、企業または個人と協定、契約、または取決めを結ぶことができる。

  4. 国連大学の公務のために出張する者には、要請に基づき、適切な国際連合旅行証明書が支給される。

第12条

改正

  1. 本憲章は国際連合総会によって改正することができる。

  2. 国際連合事務総長は、理事会の要請により、または理事会との協議の後、ユネスコとの協議を経て、改正案を提出することができる。

第13条

暫定規定

国連大学職員の各種カテゴリーの勤務条件については、理事会の勧告があるまでは、その地位は上記第8条第4項から第7項の規定に定められた通りとする。

1973年12月6日 国際連合総会によって採択[決議3081(XXVIII)]

Translation revised September, 2009.

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Page last modified 2009.09.04.


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